陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン「散りゆく陰への鎮魂歌」を文字で読みたい方のために文字起こしをしました!
どんなお話か気になる方や情報を整理したい方は是非お読みください!
第二章↓
登場キャラクターや最新情報まとめ↓
この記事の目次(クリックでジャンプ)
Episode 1
盗賊ボス | ギャハハハハ! お前たち、もっとだ! もっともっと、呑みやがれ! |
盗賊ボス | 今日の戦利品は、お宝揃いだ! 街で売りさばけばいい値段になるぜぇ! |
盗賊A | へへっ、特に香辛料の類いは高く売れそうですね。 なかにはよく分からない、不気味な時計もありますが。 |
盗賊ボス | 時計? そんなもんあったかあ? 手当たり次第強奪したからなあ、よくわからねぇや。 |
盗賊たち | ギャハハハハ! |
シド | ギャハハハハハハハ! ヒャッハァー!!!! |
盗賊ボス | なんだてめぇ!? いつからそこに!? |
シド | いやあ、実は訳ありなんだ。 金庫に貯めた金貨を盗まれちゃってねえ。 |
シド | 怒られるの怖いからさ、君たち盗賊から はした金でも回収して、少しは誠意を見せようって思って。 |
盗賊ボス | わけのわからねぇことを……。 おいお前ら、やっちまえ! |
シド | お、その台詞モブっぽくていいね。 僕も今度使わせてもらおうかな。 |
盗賊B | 死ねぇぇぇ! |
盗賊B | ガハッ!? |
シド | うーん、脆い。 ちゃんとカルシウム摂った方がいいよ。 |
盗賊ボス | てめえ……ぶっ殺す! おりゃあああああああ! |
盗賊たち | うぎゃあああああああ!? |
シド | あっ……マズイ。 この魔力は……。 |
アルファ | ……シド。 |
シド | ……アー、ドウモ、オヒサシブリデス。 |
アルファ | あなたが、どうしてここに? |
シド | (うわあ、これマジで怒ってるよ。 バックレた僕を糾弾する気満々だよ) |
シド | (怖いなあ、アルファ。すごい睨んでるなあ。 泣いちゃいそう) |
??? | 貴様ら、何者だ? |
アルファ | ……やはり、いたわね。 この魔力量、ただの盗賊じゃない。 |
シド | 誰? |
??? | 傭兵ではないな。盗賊にも見えん。 何が目的だ。 |
アルファ | あなたを追ってきたのよ、 チルドレン1stのナニガーシ。 |
ナニガーシ | ………………。 |
アルファ | あなたの目的は知らないけど、盗賊の一団に紛れて、 何やらこそこそしてるって情報があったの。 |
シド | (そうなの?) |
アルファ | もっとも、情報の出処が不確かで、 半信半疑ではあったけどね。 |
ナニガーシ | 聞いたことがある。 貴様ら、シャドウガーデンだな? |
アルファ | だったらどうするのかしら? |
ナニガーシ | どうもせん。相手が誰であろうと、 ここで葬り去ればすべては同じこと。 |
ナニガーシ | チルドレン1stである、我の実力を見せてくれる。 派手に散れぇ!!!! |
ナニガーシ | ぐはあっ!? |
アルファ | これでいいわ。 殺してはないから、意識が戻ったら尋問しましょ。 |
シド | うーん、あっけない。 このおっさん、何がしたかったんだ? |
アルファ | 積み荷を確認しましょう。 重要な物が紛れてるかも。 |
アルファ | ……それらしいものはないわね。 ちょっとしたお金になりそうなものはあるけど、 本当にただの盗賊って感じね。 |
シド | (わあ、すごい。この香辛料、売れば銀貨3枚にはなるぞ。 盗賊って儲かるんだなあ) |
アルファ | ねえ、ところで。 |
シド | は、はいっ! |
アルファ | どうしてあなたがこんなところにいたの? 有象無象の盗賊を、いまさらあなたが 相手にする価値なんてないでしょ。 |
シド | そ、それは……。 |
シド | (こうなったら……) |
シド | ……価値なら、あるよ。 |
アルファ | えっ。 |
シド | 僕にはこの盗賊の積み荷は、非常に価値があるように見える。 だからアルファたちにプレゼントしようと思ったんだ。 |
シド | (どうだ!? 金庫から消えたお金からしたら、 全然足りないけど……) |
シド | (少しでも足しにしてほしいっていう、 純粋で子供っぽい言い方で感動させる作戦だ!) |
アルファ | っ! この感じ! 強力な魔力! |
シド | (な、なんだ急に……。いままで何も感じなかったのに) |
アルファ | この積み荷の下だわ! |
シド | (あー、なんだか懐かしいなあ。 こうやってアルファとかウィクトーリアちゃんも 拾ったんだよなあ) |
シド | (まさかまた、〈悪魔憑き〉の子が……) |
アルファ | ……何かしら、これ? 懐中時計? |
アルファ | 魔力の発信源はこれね……。 もしや……アーティファクト? |
シド | わお。 |
アルファ | ナニガーシは、これを教団に献上して、 ラウンズにしてもらおうとか考えていたのかしらね……。 |
アルファ | はっ!? シャドウあなた! まさか最初からこの存在を知っていて……! |
アルファ | 価値があるように見えるって言ってたのは、 このアーティファクトのことだったのね。 |
アルファ | なんて人なの。シャドウガーデンの捜査網をもってしても、 ナニガーシの存在までしか分からなかったのに……。 |
シド | (……よくわからないけど、うまくごまかせた? ラッキー! 言ってみるもんだね!) |
謎の声 | ……来て。 |
シド | えっ? |
アルファ | どうしたの? |
謎の声 | ……お願い、来て。 あなたの力が……必要なの。 |
シド | ……喋ってるの、この時計かな? |
シド | (ははーん、これはアレか。 言われるがままに封印を解いたら、 変なマスコットと契約させられるあの展開か) |
シド | (やっぱりお約束ってどの世界にもあるんだなー。 だけどこういうのって主人公の役目だから、 絶対にごめんだし……) |
シド | アルファ、ちょっと貸して。 |
シド | (封印を解くんじゃなくて、 代わりに全力で魔力を流し込めば……) |
アルファ | シャドウ、何を!? |
シド | (逆に従わせることができるかも!?) |
シド | やっぱり、陰の組織ひとつに一匹は、 マスコットとかほしいよねー! |
Episode 2
アルファ | ………………。 |
アルファ | ……えっ? ここは、何? |
デルタ | がう!? デルタのイノシシは!? |
アルファ | (え?) |
イータ | うう……眩しい…… 徹夜明けの直射日光は、ダメ……。 |
イプシロン | 何が起きたのかしら? 今まで王都にいたはずなのに……。 |
ベータ | 見たところ長閑な田舎のようですね。 それまでいた場所から一瞬で移動した…… 理屈がまったくわかりません。 |
ガンマ | 別々の場所にいたはずなのに、 1か所に揃うというのも不思議な話……あっ、デルタ! どこに行くつもり!? |
デルタ | デルタのイノシシ、まだその辺にいるはず……! |
ゼータ | バカ犬が単独行動するのなら、 私もそうさせてもらおうかな。 状況把握のためにも情報を集めないと。 |
アルファ | いいえ。単独行動は控えてちょうだい。 |
全員 | アルファ様!? |
アルファ | 何故こうなってしまったのか分からないけど、 今はまとまって一緒にいるべきだわ。 |
アルファ | コトの発端は、おそらくシャドウが―― |
アルファ | っ? 今の揺れは……魔力の衝突? |
ゼータ | 視認できない距離で起きた衝突の余波かな? ソレが届いたとすると…… かなり大きな戦闘が起きているのかもしれない。 |
デルタ | 強いやついる? 行ってみるのです! |
アルファ | 状況を把握する材料になるかもしれないわね。 情報共有は移動中にしましょうか。 |
ベータに似ている少女 | くっ……実力が、違いすぎる……。 |
イプシロンに似ている少女 | わたしたちでは、遠く、及ばないの……? |
巨大な魔力の塊 | 所詮は寄せ集めの有象無象……。 |
巨大な魔力の塊 | 貴様らは特にそうだ。 ふむ……数合わせか。 |
アルファに似ている少女 | ……どうだろうな。 |
リリ | リリたちはみんな仲間です! 有象無象なんかじゃありません! だから―― |
リリ | リリたちは……リリは…… みんなと力を合わせて、あなたを倒します……! 吸血鬼から人々を解放するために……! |
??? | 彼女の言うとおりです。 |
リリ | フレイヤさん……。 |
フレイヤ | 今日こそ戦いに終止符を…… これ以上、吸血鬼の好きにはさせません! |
巨大な魔力の塊 | 吸血鬼もまた有象無象に過ぎぬ。 どうでもいい存在……と言ったところで、 貴様らは納得しないのであろうが。 |
巨大な魔力の塊 | ……耳障りなさえずりも聞き飽きた。 数が増えた分、余計にな。 |
アルファに似ている少女 | 増えた……? |
ユキメ | はて、何が何やら……。 いつの間にか、見覚えのある顔がありんすなぁ。 |
クレア | ここは……? 学園の敷地には見えないけど……。 |
559 | おい、どうなってる? |
ローズ | わ、私も全然状況が……。 |
アレクシア | 状況を整理するのはあとにして。 今はそんなことをしている場合じゃなさそうよ。 |
アルファに似ている少女 | 誰だ……? |
リリ | いつから、そこに……? |
巨大な魔力の塊 | ……なんでもいい。 まとめて消えろ。 |
フレイヤ | っ!? |
アルファに似ている少女 | まずいな……。 |
アルファ | みんな! ここは退いて―― |
ベータに似ている少女 | そうはさせない! |
フレイヤ | ドゥーエ! |
巨大な魔力の塊 | 我が前に立ちはだかる資格もない弱者よ。 |
シド | あれ、姉さんたち? 良かった、ひとりかと思ったよ~。 |
クレア | シド!? |
巨大な魔力の塊 | ……すさまじい魔力量。 貴様、何者だ? |
巨大な魔力の塊 | いますぐ散れぇ!!!! |
シド | あ。 |
ベータに似ている少女 | きゃああっ!? |
アルファ | な、なんて威力!? |
アレクシア | 吹き飛ばされる……! |
クレア | し……シドぉぉぉぉぉぉ!!!! |
Episode 3
字幕 | 巨大な魔力の塊による攻撃がシドに直撃する。 力の衝突による土煙が晴れたその場所には、 何も残っていなかった―― |
ゼータ | ぐっ、直撃していないのに、 なんて無茶苦茶な威力……。 |
イータ | うう、頭、痛い……。 岩にぶつけた……。 |
アルファ | みんな、無事!? |
アルファに似ている少女 | 何人か倒れているぞ。 |
ベータ | ……王女、クレアさん、ローズ王女。 大丈夫。みんな、気を失ってるだけです。 |
アルファ | そ、そう……。 良かったわ……。 |
デルタ | ……ボス。 |
アルファ | えっ? |
デルタ | ボスはどこいった? かくれんぼ、してるのです? |
アルファ | シャドウならきっと、そこに……。 |
アルファ | ……いない? |
アルファ | (彼の気配が感じられない) |
アルファ | (いくら直撃したとはいえ……。 まさか……そんな……) |
デルタ | ボス……? ボスはどこ? |
イプシロン | う、嘘ですよね? どこかに身を隠していらっしゃるんですよね!? |
ガンマ | シャドウ様!! シャドウ様!? どちらにいらっしゃるのですか!? |
ゼータ | ……嘘だろ? 主が、まさかあんな奴に……? |
イータ | 跡形もない……。 |
アルファ | 気配は……消えた……。 だけど、彼の魔力は紛れもなく……。 |
巨大な魔力の塊 | ……………………。 |
イプシロン | シャドウ様ぁぁぁ!!!! |
アルファ | シャドウの魔力は…… 奴の……巨大な魔力の塊の中に、ある。 まるで、飲み込まれているかのように―― |
フレイヤ | それが奴の能力のひとつです。 |
アルファ | っ、あなたは? |
フレイヤ | 自己紹介をしている時間はありません。 奴は相手の魔力を吸収して己の力に変える能力があります。 |
フレイヤ | ただでさえ驚異的な力を持っているのに、 匹敵するほどの魔力を持つ男の力を吸収しているなんて……。 |
デルタ | さっきからみんな、何言ってる? ボスは死んでない。あんな奴に負けるわけない。 |
ガンマ | デルタ。気持ちは分かるけど―― |
デルタ | うるさい! ボスは死んでない! |
デルタ | ボスは、あいつの中にいる……! デルタも一緒に戦うのです! ガルルルァァ!!! |
アルファ | デルタ!? |
ゼータ | 魔力を吸収しきる前に、消す。 |
アルファ | ゼータまで……! |
ベータ | アルファ様、私も……。 私も、絶対に許せません!!!! |
アルファ | ベータ!? |
イプシロン | シャドウ様を……シャドウ様を返して!! |
ガンマ | アルファ様、どうか止めないでください。 私は……私は……っ! 失礼します……!! |
アルファ | ガンマ…… イータ、あなたも行くつもり? |
イータ | 彼を負かした相手に、勝てるとは思えない…… でも……止められない……。 |
アルファ | イータ……。 |
イータ | 気持ちは、同じ…… 七陰、全員……そうでしょう? |
アルファ | ……ええ、そうね。みんな同じだわ。 行くわよ、イータ! |
ユキメ | 一緒にいた時間が長い分、 アルファさんたちの苦しみは大きなものでありんしょう。 わっちでさえ、こんなにも胸が痛いのだから……。 |
559 | こんなところで……退けない。 |
ユキメ | はい? |
559 | 足が震えていても……立ち上がる……。 |
559 | 怯えて、足を震わせているわけにはいかない。 シャドウ様たちが作り上げてこられた組織の一員として…… 私は戦う! |
559 | ……そこで気絶している彼女、起こしておいてください。 そんなのでも腕は確かな、戦力ですから。 |
ユキメ | ええ、わかりんした。 |
559 | シャドウガーデンの名に恥じない、戦いを! はあああっ!! |
イプシロンに似ている少女 | 何者なのかは分からないけど、 戦力の揃っている今が好機よ! |
リリ | 待ってください、ペンテさん! 大変なんです! |
リリ | こちらへ吸血鬼の軍勢が接近しています! |
ユキメ | 吸血鬼の軍勢? 何故でありんすか? |
フレイヤ | 吸血鬼は奴の配下なんです。 力が増しているのを察して動き出したのでしょう。 |
フレイヤ | 聖教の旗印の下で戦う、 抵抗勢力であるわたくしたちを一気に潰すために…… ここは1度撤退して体勢を整えましょう。 |
アルファに似ている少女 | フレイヤ、撤退はナシだ。 |
ドゥーエ | そうよ。近くの街や砦に逃げれば奴らは追ってくる。 そして罪なき人々を手にかけるわ。 そんなの、ダメ……だから、ここで叩く。 |
フレイヤ | 待ってください。 さらに強力になったディアボロスと、吸血鬼の軍勢。 両者を相手に勝ち目はありません。 |
アルファに似ている少女 | 勝ち目があるかないかは、あまり興味がない。 別に、負けたら負けたで、それまでだからな。 |
フレイヤ | オリヴィエ……。 |
リリ | 戦いましょう。 リリたちが戦わないと被害が大きくなります。 みんなを守るんです! |
ユキメ | 気を失っている彼女たちはわっちが護りんしょう。 気にせずお役目を果たしておくんなんし。 |
オリヴィエ | 見えてきた。 軍勢というだけあるな。 すごい数だ……行くぞ! |
アルファ | はぁ、はぁ、はぁ……。 |
アルファ | は、はは……は……っ、ぅ……。 |
字幕 | 肩で息をするアルファ。 彼女は乾いた笑い声を漏らしながら、 ひと筋の涙をこぼした―― |
巨大な魔力の塊 | 吸血鬼たちの雄叫びが聞こえるか? あちらも終わったようだ。 |
巨大な魔力の塊 | 頼んでもいないのに勝手に従うのだ。 強者におもねり、はべるのは、どんな種でも同じらしい。 |
アルファ | (デルタ、ベータ、イータ、ゼータ、 イプシロン、ガンマ……) |
巨大な魔力の塊 | 残っているのは、貴様ひとり。 絶望と孤独の中にいるのであろうな。 だが、それももうしまいよ。 |
巨大な魔力の塊 | と、もう聞こえておらんか。 |
アルファ | (最期の瞬間を、 ひとりぼっちにはさせたくなかった…… ちゃんと、みんなを見送れたわ……) |
巨大な魔力の塊 | 塵芥となれ。 |
アルファ | ねえ、シャドウ…… 褒めてくれるでしょう? |
字幕 | 強大な魔力による攻撃が直撃し、 アルファの意識は途絶えた。 |
Episode 4
デルタ | ボス……? ボスはどこ? |
アルファ | (え……?) |
イプシロン | う、嘘ですよね? どこかに身を隠していらっしゃるんですよね!? |
アルファ | (これは、どういうこと……?) |
アルファ | (何が起きて……? 私たちは負けて、全滅したはずじゃ……?) |
ガンマ | シャドウ様!! シャドウ様!? どちらにいらっしゃるのですか!? |
ゼータ | ……嘘だろ? 主が、まさかあんな奴に……? |
アルファ | (それに、このやり取り…… 確か次はイータが――) |
イータ | 跡形もない……。 |
イプシロン | シャドウ様ぁぁぁ!!!! |
アルファ | (さっきと、同じことが起きてる……? どうなっているの? 私はこの先で何が起こるか知っている) |
アルファ | (未来を視た? それとも――) |
アルファ | (時間が戻った……?) |
フレイヤ | 残念ですが、彼は死にました。 |
デルタ | お前……!! |
フレイヤ | しかし嘆いている場合ではありません。 時は一刻を争います。 奴には恐るべき能力があるのです。 |
オリヴィエ | ああ、面倒な能力だ。 |
デルタ | お前、なんなのです!? アルファ様みたいな顔して! |
オリヴィエ | アルファ……? 違う。 私はオリヴィエだ。 |
アルファ | オリヴィエ……? その名前と姿は……。 |
ガンマ | う、嘘みたいな、話ですね……。 |
ベータ | 目の前にいるのが、あの……? |
リリ | オリヴィエさんのお知り合いですか? |
ゼータ | そういう、あなたは……リリ様? |
リリ | へ? どこかでお会いしましたか? |
ゼータ | ………………。 |
リリ | ………………。 |
フレイヤ | 話はあとです。 時間がありません。 |
フレイヤ | 奴は相手の魔力を吸収して己の力に変える能力を持っています。 今はあの男の膨大な魔力を変換しているところです。 完全に吸収を終える前に、奴を―― |
オリヴィエ | ディアボロスを討たなければならない。 |
アルファ | ディアボロス……? |
ゼータ | ディアボロスって、魔人ディアボロス……? 1000年前に死んだはずの……? |
リリ | い、いえ。ディアボロスはずっと、 吸血鬼を率いてこの世界を―― |
デルタ | ボスは死なない! |
アルファ | デルタ? |
デルタ | コイツらてきとーなこと言ってる! ボスは死んでない! |
リリ | あ、あの。 現実を受け入れるのはツラいことかもしれませんが、 あの方は―― |
デルタ | うるさい! あんなヤツよりボスは強いのです! ボスは負けない!! |
アルファ | (いけないわ…… このままだとデルタが飛び出して、さっきのように――) |
アルファ | デルタ、落ち着きなさい。 |
デルタ | アルファ様! |
アルファ | みんなも冷静になって。 難しいのはわかるけれど、状況を考えてほしいの。 |
選択肢A-1 | シャドウは死んだ。 |
Episode 5 (選択肢A-1)
アルファ | それが現実よ。 受け止めてちょうだい。 |
ガンマ | ですが……っ! この怒りを、虚しさを、悲しみをどうすれば……! |
アルファ | 本当にディアボロスなのかはともかく、 シャドウを倒すほどの強敵だというのは間違いない。 なんの情報も準備もなく突っ込めば、全滅するわ。 |
アルファ | 私だって、気持ちは同じよ。 悔しくて苦しくて……飛び出して行ってしまいたい。 だけど―― |
アルファ | 彼が生み出したシャドウガーデンの存在意義と、 私たちのすべきことを忘れないで! 今は私情を捨てなさい!! |
ガンマ | くっ……っ……アルファ様が、そう仰るのなら……。 |
イプシロン | シャドウ様の意志を、守らないと…… いけません、よね……。 |
アルファ | みんな……。 |
アルファ | わかってくれて、ありがとう。 これからの動きは―― |
デルタ | 違うのです!! |
アルファ | デルタ……。 |
デルタ | アルファ様うそつき!! |
デルタ | ボスは死なない! 死んでないのです!! |
デルタ | みんな……お前たち、ヘン!! なんでボスが負けたと思うのです!? ヘン! 違う! ボスは死なない!! |
アルファ | デルタ……あなたにもわかるはずよ。 シャドウは死んだ。 今すべきことを考えなさい。 |
デルタ | っ……違う……違う……!! だって……ボスは強くて、すごくて……がる……っ、うう…… うううう……あああああ!!! |
デルタ | ガルルルァァ!!! |
ガンマ | デルタ? どうしたの? |
ベータ | 姿が変わった……? そ、それに、雰囲気も……。 |
デルタ | ガアアアアッ!! |
攻撃躱す | |
イプシロン | な!? やめなさい、デルタ!! |
ゼータ | 雰囲気が変わったと言うより、 理性を失ってる感じだね。 これじゃ…大バカ犬だ。 |
イータ | すごい、力……。 当たったら、死ぬかも……。 |
デルタ | グルァァアアア! |
アルファ | デルタ!! |
アルファ | くっ……! |
アルファ | (なんて力なの……!? 明らかに、これまでのデルタとは違う……!) |
デルタ | グルァァアアア!!! |
リリ | きゃあっ! |
アルファ | (まずいわ。見境なく攻撃を……) |
ガンマ | アルファ様、どうしますか? 今のデルタは手に負えません! |
ベータ | こちらの声が届いていない…… デルタはどうしてしまったんでしょうか? |
アルファ | (このままだと魔力を吸収し終えた奴が動き出してしまう。 デルタと両方を相手にできる?) |
アルファ | (いいえ、無理だわ。 そんなことをすれば、同じ結末を辿るでしょう。 だとすれば選択肢は――) |
アルファ | 全員、分散して撤退よ。そっちのあなたたちも。 動けない人には手を貸して。 戦線を離脱するわ! |
フレイヤ | みんな、彼女の言う通り退きましょう。 奴の状態が変わったのです。 対策を立てる必要があります。 |
オリヴィエ | ……わかった。 |
ゼータ | どこで落ち合う? |
フレイヤ | ひとまず、わたくしたちの拠点へ参りましょう。 |
ドゥーエ | それがいいわ。 誰かしらについてくればいい。 |
アルファ | ……そうしましょう。 みんな、必ず生きて辿りついて。 これは命令よ。 |
ガンマ | はい。必ずや遂行いたします。 |
ゼータ | ……ねえ。 |
アルファ | 何? |
ゼータ | 妙なこと、考えてないよね? |
アルファ | ……ええ、もちろんよ。 変なことを言うのね。 |
アルファ | (私は――) |
選択肢B-1 | 拠点へ向かう。 |
選択肢B-2 | デルタを追う。 |
アルファ | 時間がないわ。 みんな、急いで移動するわよ。 |
Episode 6 (選択肢B-1)
アレクシア | はあ、はあ……。 |
アルファ | 少し休憩にしましょう。 さっきまで倒れていたのだから、満足に動けないでしょう。 |
アレクシア | 気遣ってもらわなくてけっこうよ。 早く行きましょう。 |
アルファ | 気遣う? 疲労したまま移動するのは効率が悪い。 だから言っているの。 |
オリヴィエ | 周辺に敵の気配はない。 |
ベータ | では、休憩を兼ねて情報を整理しましょう。 |
イプシロン | ちょっと。 なんでベータが仕切ろうとしてるの? |
ベータ | 仕切るだなんて、そんなつもりはありません。 こんな状況でも言いがかりをつけてくるなんて…… 私は提案をしただけです。 |
アルファ | やめなさい、ふたりとも。 |
ベータ&イプシロン | っ、はい……。 |
アレクシア | まさかシャドウガーデンと 行動を共にすることになるなんてね……。 |
ペンテ | シャドウガーデン? それがあなたたちの組織の名前なの? |
ドゥーエ | もしかして……あの少年も、 その組織の一員だったのかしら? |
アレクシア | いいえ、違うわ。 ポチは……彼の名前はシド。 どこにでもいる、普通の少年よ。 |
ドゥーエ | そう。……きっとディアボロスの意識が彼に向かなければ、 わたしはそのまま突っ込んでいって、消されていた。 |
ドゥーエ | わたしに力がないばかりに……。 |
ペンテ | 自分を責めないで。 あなたが苦しむとわたしの胸も痛くなるわ…… 丁寧に彼を弔いましょう。わたしも一緒に死を悼むわ。 |
イプシロン | ……なんか、ムズムズするわね。 |
アレクシア | あなたたちはシャドウガーデンじゃないの? だったら、いったい誰? |
オリヴィエ | お前たちこそ、誰だ? シャドウガーデンなんか、聞いたこともない。 |
アルファ | 軽く、自己紹介しておきましょうか。 私はシャドウガーデンのアルファ。 |
アルファ | こっちは端から順に、ベータ、イプシロン、イータよ。 |
アレクシア | 私はアレクシア・ミド……いえ。 紅の騎士団のアレクシアよ。 |
オリヴィエ | 自分の名はオリヴィエ。 こっちは仲間のドゥーエとペンテだ。 |
ベータ | アルファ様…… 荒唐無稽な話かもしれないのですが、 よろしいでしょうか? |
アルファ | その荒唐無稽な話は、 おそらく私も考えていたことよ。 彼女たちの姿を目にした時からね。 |
ベータ | オリヴィエを名乗るエルフと、 ディアボロスと呼ばれた巨大な魔力の塊―― |
ベータ | ここは、およそ1000年前…… 過去の世界なのではないでしょうか? |
イプシロン | そうね。敵の正体が魔人ディアボロスなら、 あの強さも納得できる……かもしれない。 認めたくはないけど。 |
ドゥーエ | オリヴィエ、今の話を理解できた? |
オリヴィエ | いや、まったく。 |
ペンテ | 不思議、ね。 話の内容もだけれど、彼女たちの見た目も……? |
オリヴィエ | 待て。 なんの話をしているんだ? まったく理解できない。 |
アルファ | 理解が及んでいないのは私たちも同じよ。 それにもうひとつ、 よくわからない現象が起きているの。 |
アレクシア | よくわからない? |
アルファ | ええ、これもまた荒唐無稽な話になるわ。 実を言うと―― |
アルファ | 私の時間が巻き戻ったの。 |
アレクシア | 時間が、巻き戻った……!? |
アルファ | そうね……仮にソレを時間軸と呼びましょう。 1度目の時間軸では、 あの場にいた全員がディアボロスと吸血鬼の軍勢に殺されたわ。 |
イプシロン | 吸血鬼の軍勢……? |
アルファ | ディアボロスの援軍よ。 私は最後まで立っていたけれど、 ディアボロスの手にかかって息絶えたわ。 |
アルファ | でも次の瞬間、シドが死んだ瞬間に戻っていた。 そしてみんなが1度目の時間軸と同じ言葉を紡ぎはじめたの。 |
アルファ | このままでは同じ未来を辿ることになる…… そう思って撤退を告げたのだけど―― |
イプシロン | 少しだけ、変だとは思ったんです。 アルファ様はひとりだけ、冷静でいるように見えたので……。 |
アルファ | 信じてくれるの? |
イプシロン | もちろんです。 アルファ様の言葉を信じます。 |
イータ | ……なるほど……。 |
ベータ | イータ? 何がなるほどなの? |
イータ | ……文献で、見たことがある…… 時間を、戻す……アーティファクト、のこと……。 |
イプシロン | ええっ!? そんなものがあるの!? |
アルファ | ……イータ。もしかしてそれは、 懐中時計のかたちをしている? |
イータ | そう。不思議な懐中時計。 |
アルファ | やっぱり……。 |
ベータ | 何かご存じなんですか? |
アルファ | ええ。この世界に飛ばされる前、 シャドウと盗賊を狩っていたのだけど……。 |
アルファ | 盗賊に紛れていたチルドレン1stがいて、 彼の持ち物と思われる、アーティファクトが見つかったわ。 |
アルファ | そしてシャドウが、アーティファクトに 魔力を込めた瞬間、気づいたらこの世界にいたの。 |
ベータ | そ、そんなことが……。 |
イータ | ……ソレは『不可逆の懐中時計』というアーティファクト。 任意の場所をセーブポイントとし、 保有者は、その地点にタイムリープすることができる。 |
アルファ | タイムリープ…… でも私はそのアーティファクトの保有者ではないわ。 それなのにどうして前の時間軸の記憶があるの? |
イータ | 記憶を保持できるのは、保有者ともうひとりだけ……。 そのもうひとりが、どうやって選ばれるかは不明……。 |
イータ | だけど、アルファ様が保有者じゃなくて、 記憶を保持しているのだとしたら……。 |
イータ | 必ずすぐ近くに、保有者がいる。 『不可逆の懐中時計』を起動させた……何者か。 |
アルファ | あそこにいたのは私たち七陰と559―― |
アレクシア | 私とクレアさん、ローズ王女、ユキメさん。 それから彼女たちよ。 |
オリヴィエ | あの場にいた仲間は、自分を入れて10人だ。 |
イプシロン | 22人……。 |
アルファ | 少なくとも、ね。 もしかしたら姿を隠していた者がいた可能性もあるわ。 |
アルファ | 現段階で保有者の特定は難しいわね。 |
ベータ | 不可逆の懐中時計と、 私たちを1000年前の過去に移動させたアーティファクトは、 同じものなんでしょうか? |
アルファ | イータ、どう思う? |
イータ | ……アーティファクトには、謎が多い…… だけど、時間を操るアーティファクトは強力で希少…… 同時にふたつある可能性は、低そう……。 |
アルファ | そうなのね…… だったらまずは不可逆の懐中時計に専念しましょう。 |
イータ | 不可逆の懐中時計を使えば…… 犠牲が出る前……マスターが死ぬ前に……時間を、戻せる……。 |
イプシロン | 死すらも、なかったことにできる…… そうなんですね? アルファ様! |
アルファ | ええ、現に死んだはずの私たちは、 生き返ることができたわ。 |
アレクシア | ちょっと待って。シャドウが死ぬ前って…… ど、どういうこと? |
アルファ | (……そうか。 彼女はシドがシャドウであることを知らない) |
アルファ | (この先、一緒に行動するにあたり、 隠し続けるのも大変ね) |
アルファ | (だけど、正体を隠していたのは彼の意思。 私たちがその秘密を漏らすわけにはいかない) |
アルファ | (だったら……) |
アルファ | そうよ。彼もディアボロスに負けた。 |
アレクシア | っ!? |
アルファ | あの少年が消し飛ばされたあと、すぐにね。 まったく抵抗も出来ず、あっけなく。 |
アレクシア | そ、そんな……。 あの、シャドウが……? |
アルファ | (これでいいわ。時間を戻すことで私たちはシャドウを救えて、 彼女たちはシドを救うことができる。……目的が一致したわ) |
アルファ | (それにしても……) |
アルファ | 保有者……一連の黒幕は何を考えて、 私たちをこの時代へ呼び出したのかしら? |
Episode 7 (選択肢B-2)
アルファ | 時間がないわ。 みんな急いで移動するわよ。 |
ベータ | はい! |
アルファ | 出てきなさい。 |
アルファ | ………………。 |
アルファ | 隠れて隙を窺っているの? 甘く見られたものね。 |
アルファ | あなたが狙っているのはその辺の獣ではなく、 私……アルファなのよ。 |
デルタ | グルルル……。 |
アルファ | デルタ…… 今のあなたと言葉を交わせないことは、 とっくに理解しているわ。 |
アルファ | だから―― |
デルタ | ガルルルァァ!!! |
アルファ | ハッ! |
アルファ | 力ずくで、あなたを止める! |
アルファ | もう、あなたに仲間を傷つけさせたりしない。 そして……あなたを失ったりもしないわ! |
デルタ | グルァァアアア!!! |
アルファ | はぁ、はぁ、はぁ……。 |
デルタ | グ、ルル……。 |
アルファ | くっ……馬鹿力にも、ほどがあるわよ…… ねえ、デルタ……! |
デルタ | グルルル……ガ? |
アルファ | (動きが、止まった?) |
デルタ | ……グルルル……。 |
アルファ | !! この気配―― |
アルファ | 吸血鬼の軍勢……!? |
デルタ | ガルルルァァ!!! |
アルファ | ダメッ、デルタ!! ぐっ……かはっ……! |
アルファ | (血……内臓も損傷してる…… きっとデルタも……) |
アルファ | そんな身体で、吸血鬼の軍勢と戦うつもりなの……? |
アルファ | ……あなたが戦うなら、私も戦うわ。 どんな結果になろうとも、デルタをひとりにはしない。 |
アルファ | そう、決めていたの。 |
字幕 | ボロボロの身体でアルファは戦場へ向かう。 そして彼女は暴れ回るデルタと共に吸血鬼を撃破していくが―― |
字幕 | 身体はとっくに限界を迎えていた。 彼女たちは押し寄せる吸血鬼の軍勢に敗れ、 命を散らしたのだった―― |
Episode 8 (選択肢B-1続き)
オリヴィエ | この森を抜けたら小さな街がある。 大きくはないが、ひと通り生活はできる。 |
オリヴィエ | 通常はよそ者が入って来たところで、さして気にもされないが…… これだけ一気に増えると、どうだろうな。 |
アルファ | ………………。 |
アレクシア | ………………。 |
ドゥーエ | 空気が……重い……。 |
ベータ | アルファ様……えっと……あっ、そういえば! |
ベータ | 彼女と私、顔がそっくりだと思いませんか? |
ドゥーエ | え? わたし? |
ベータ | それに彼女は―― |
ペンテ | わたしは、こちらの彼女に似ているわね。 |
イプシロン | ………………。 |
ペンテ | えーと……不満、なのかしら……? |
イプシロン | ………………。 |
ペンテ | え? ええ? なんで近づいて―― |
イプシロン | 確認のため……よっ! |
ペンテ | きゃあ!? |
ドゥーエ | なっ!? |
イプシロン | こ、この胸は……! |
ドゥーエ | えっ、ちょ、は、離れなさい!! |
ドゥーエ | だ、大丈夫? |
ペンテ | ううっ……今日会ったばかりの人に、 こんなに激しくされるなんて……。 |
イプシロン | やっぱり……そう、だったのね……。 |
ドゥーエ | ちょっとあなた! いきなり胸を、も、揉むなんて! なんのつもり!? |
イプシロン | ……ん、で……なんで―― |
イプシロン | 似てるのが顔だけなのよ……っ! |
ベータ | 似ていない? よくわからないんですけど、 どこか似ていないところがあるんですか? |
ベータ | 私と彼女のように、 ふたりもそっくりだと思うんですけど? |
イプシロン | なんですって!? |
ベータ | ええっ!? なんで急に怒るんです!? |
イプシロン | あなたが何もわかっていないからよ! 似てほしいところはソコじゃないの! |
ベータ | はい? 意味がわかりません。 急に怒り出してなんなんですか? |
イータ | ……うう……うるさ……。 |
オリヴィエ | よくわからないが、喧嘩は良くないぞ。 |
イプシロン | あなたには関係ないでしょ? |
オリヴィエ | まあ、そうだな。 だがその顔同士が喧嘩するのは違和感があってな。 |
オリヴィエ | 自分が見慣れているのは、アレだ。 |
ペンテ | あんな風にされるなんて、驚いちゃった。 動揺しすぎ、よね……。 |
ドゥーエ | そんなことないわ。 当然の反応よ。 だって、あんなこと……その……。 |
ペンテ | 親しいあなたにだって、されたことない、し……? |
ドゥーエ | ……ええ。あんな乱暴になんて……。 |
イプシロン | ……やっぱり、ムズムズするわ。 |
イプシロン | 私と似た顔の人とベータに似た顔の人の距離が、 かなり近い光景……なんだか、微妙ね。 |
ベータ | その気持ち、わかります。 私もなんだかムズムズ…… いいえ、ゾワゾワしますから……。 |
オリヴィエ | 似ているのは外見だけ、か―― |
アルファ | 止まって! |
オリヴィエ | ん? |
アルファ | この気配……来るわ! |
アレクシア | え? 来るって、何が―― |
デルタ | ガルルルァァ!!! |
Episode 9
アレクシア | がはっ!? |
ベータ | アレクシア王女……!! |
アレクシア | っ、う……ひゅ……ぐ……ぁ……―― |
デルタ | グルルル……1匹ィィィ……。 |
デルタ | 次はァァァ……お前だァァァッ!! |
ドゥーエ | うっ!? く……なんて、重い攻撃……ッ! |
ペンテ | っ、離れて! |
ペンテ | 当たらない……!? |
デルタ | ガアァァァ!! |
オリヴィエ | 何!? |
オリヴィエ | ぐっ……! こちらを見ずに攻撃をしてくるとは……! |
イータ | ……なんの、予備動作もなく……攻撃した…… これまでの……デルタより……冴えてる。 |
イプシロン | 野性的な勘が鋭くなってるのかしら? |
デルタ | グルァァアアア!! |
デルタ | デルタの獲物ォォ……! |
ベータ | デルタ! やめて! どうしてこんなことするんですか! |
デルタ | グルアアアア! うるさいっ!!! デルタより弱いお前が、デルタに命令するな!!! |
デルタ | 弱い奴、死ぬ。 強い奴が、殺す。 それだけ! それで、全部! |
アルファ | 話が通じない以上、倒すしかなさそうね。 縛り上げてでもおとなしくさせるわ。 |
アルファ | (とは言ったものの……) |
デルタ | ガルルルァァ!!! |
アルファ | (さっきよりさらにパワーアップしてる、わね。 もしかすると、私よりも――) |
デルタ | グ、ガ……アアァァアァァ!! |
ベータ | っ、う……デル、タ……ど、して……―― |
デルタ | ガルルルァァ!!! あとぉ……2匹ィィィ……。 |
デルタ | 全部、殺す! デルタが殺す! 全部殺したら、デルタがいちばん! デルタがいちばんなら、ボス、褒めてくれる! |
デルタ | 殺すッ!! 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!! ウガアアアアアア!!! |
オリヴィエ | く……無尽蔵の体力か……。 |
アルファ | っ……ベータまで……。 |
オリヴィエ | 5秒だ。 |
アルファ | え? |
オリヴィエ | それが限界だ。 |
アルファ | ちょっと、あなた―― |
デルタ | グルァァアアア!! |
オリヴィエ | うぐっ! |
アルファ | (捨て身の攻撃……!) |
オリヴィエ | 今だッ!! |
選択肢C-1 | デルタを殺す。 |
選択肢C-2 | デルタを生かす。 |
Episode 10 (選択肢C-1)
アルファ | (本当に、こうするしかないの……?) |
アルファ | (デルタを生かす道だって、 もっとよく考えれば見つかるかもしれないのに――) |
デルタ | グルァァアアア!!! |
アルファ | (デルタ……まるで本物の獣のようだわ。 仲間を手にかけた意識すら、 今のあなたにはないのね……) |
デルタ | ウガアアア! 殺すッ!! グルァァアアア!!! 死ねッ!! ガルルルァァ!!! |
アルファ | (こんな姿を晒して、仲間を殺めてまで生きるのを、 きっとあなたも望んでいないはず……なんて、 そんな言いわけをするのはズルいわよね) |
アルファ | (私は、私の判断で、私の意志で――) |
アルファ | ごめんなさい、デルタ。 |
デルタ | ガッ、ハ……!? |
オリヴィエ | ぅ、ぐ……それで、いい……。 |
オリヴィエ | ……自分は、しょせん……ここ、まで……の……―― |
デルタ | グ……ゥ……う……っ……。 |
デルタ | ……ア……ファ……さ、ま……。 |
アルファ | デルタ……? あなた、自我が……。 |
デルタ | ……め、ん……なさ……の……です……。 |
デルタ | でも……ボス、は……あん、な……のに…… 負けない、っ……の、です……。 |
デルタ | アルファ、様……な、んで……信じ、な……―― |
アルファ | デルタ……? |
アルファ | そう……よね……。 |
アルファ | デルタ……あなたは……彼を信じていた…… ディアボロスよりも、シャドウのほうが強いって……。 |
アルファ | でも、その信頼を……私が否定した。 あなたは、私のことも信じてくれていたから、 混乱してしまったのね……。 |
アルファ | 自分がありえないと思うことを、 信頼する人が肯定する……それがどれだけ残酷なのか、 デルタの心を壊すのか、気付けなかった……。 |
アルファ | 私が……判断を、誤ったから…… イータも、イプシロンも、ベータも、デルタも…… みんな、死んでしまった……。 |
アルファ | っ、くっ……うっ……は……アアアアッ!!! |
字幕 | 身体中の血が沸き立つような感覚に襲われる。 苦しみと絶望の中、魔力が溢れ出し―― |
Episode 11 (選択肢C-2)
オリヴィエ | っ、愚かな―― |
デルタ | ガルルルァァ!!! |
オリヴィエ | ぐっ、は……託す、相手を……誤った、か……―― |
アルファ | あ―― |
デルタ | ガルルルァァ!!! |
字幕 | ほんの一瞬、アルファに隙が生まれた―― |
字幕 | のと、同時。 デルタの腕がアルファの腹部を貫通する。 意識が薄れる余韻もなく、彼女は絶命した―― |
Episode 12
デルタ | ボス……? ボスはどこ? |
アルファ | (え……?) |
イプシロン | う、嘘ですよね? どこかに身を隠していらっしゃるんですよね!? |
ガンマ | シャドウ様!! シャドウ様!? どちらにいらっしゃるのですか!? |
アルファ | (また、タイムリープした……?) |
ゼータ | ……嘘だろ? 主が、まさかあんな奴に……? |
イータ | 跡形もない……。 |
イプシロン | シャドウ様ぁぁぁ!!!! |
アルファ | っ、ぐ……あっ……! |
デルタ | アルファ様!? |
アルファ | デルタ……あなた……生きて……。 |
デルタ | がう!? アルファ様が倒れたのです! |
ガンマ | シャドウ様のことが、それだけショックだったんですね…… 1番長くお傍にいて、彼を支えていらしたのは、 アルファ様だから……。 |
アルファ | (戻って、これた…… デルタを手にかけてしまう、前に……) |
デルタ | アルファ様……うう……大丈夫なのです! ボスはアイツに負けたりしてない! かくれんぼしてるだけなのです! |
ガンマ | デルタ……。 |
ゼータ | 1番現実が見えていないのは、 このバカ犬みたいだ。 |
デルタ | なんだと!? |
ゼータ | いい加減、現実を見ろ。 死んだとか、そういうのを、何度も口にしたくはない。 |
フレイヤ | 喧嘩している場合でも、嘆いている場合でもありません。 時は一刻を争います。 奴には恐るべき能力があるのです。 |
オリヴィエ | ああ、面倒な能力だ。 |
デルタ | お前、なんなのです!? アルファ様みたいな顔して! |
オリヴィエ | アルファ……? 違う。 私はオリヴィエだ。 |
アルファ | ……自己紹介をしている時間はないでしょう? |
オリヴィエ | ん? ああ、そうだな。 |
フレイヤ | 奴は相手の魔力を吸収して己の力に変える能力を持っています。 今はあの男の膨大な魔力を変換しているところです。 完全に吸収を終える前に、奴を―― |
オリヴィエ | ディアボロスを討たなければならない。 |
ベータ | ディアボロス……? |
ゼータ | ディアボロスって、魔人ディアボロス……? 1000年前に死んだはずの……? |
ガンマ | 理解できません…… それに彼女たちの姿……特に、 オリヴィエという名前の彼女は……。 |
イプシロン | あの、オリヴィエってこと? |
リリ | オリヴィエさん、お知り合いですか? |
オリヴィエ | んー……知らん。 |
デルタ | お前たち!! ヘンなことばっかり言うな! |
デルタ | ボスは生きてるのです! 死んだりしない! |
アルファ | デルタ……。 |
選択肢A-1 | シャドウは死んだ。 |
選択肢A-2 | シャドウは生きている。 |
Episode 13 (選択肢A-2)
アルファ | (シャドウが死んだと、 現段階での事実を突きつけてしまえば、 さっきと同じことになる) |
アルファ | (混乱したからといって、 デルタが何故ああなってしまったのか、 それはわからないけれど……なんとしてでも防いでみせる) |
アルファ | みんなこっちへ。 |
ガンマ | は、はい……。 |
イプシロン | シャドウ様が、生きてる……? |
ベータ | ほ、本当なのですか!? |
アルファ | ええ。 もっとも正確には、 シャドウは復活できる、だけれど。 |
デルタ | ふっかつ……ふっかつ……がう? でもそれ、ボスが負けてるってこと―― |
アルファ | デルタ。 |
アルファ | 当然、復活というのは、 シャドウのプランに組み込まれていることよ。 復活を見込んだ死は敗北ではないの。 |
デルタ | ……がう? |
アルファ | 復活するから負けではないの。 わかった? |
デルタ | ふっかつするから、負けじゃない……。 |
デルタ | がう! わかったのです! |
アルファ | わかってくれて良かったわ。 このことは私たちシャドウガーデンだけの秘密よ。 いいわね? |
デルタ | はいなのです! ボスは生きてない! 生きてないのです!! |
ガンマ | 本当にわかっているのかしら……? |
ゼータ | アルファ様の判断を疑いたくはないけど、 バカ犬にまで告げたのは、間違いだったんじゃない? |
アルファ | ……いいえ、これで良かったのよ。 ともかく1度この場を離れましょう。 |
アルファ | あなたたちも撤退するわよね? |
オリヴィエ | ん? |
アルファ | わからないかしら? 吸血鬼の軍勢が近付く気配がするわ。 このままここにいれば襲撃されるでしょう。 |
アルファ | 強力になったディアボロスと吸血鬼の軍勢…… その両方を相手にできる自信があるの? それなら止めないけれど、私たちは手を引くわ。 |
アルファ | (1度目はそれで全滅した。 同じ失敗は繰り返さないわ) |
オリヴィエ | ………………。 |
フレイヤ | オリヴィエ、ここは退きましょう。 対策を練ってからでも遅くありません。 |
フレイヤ | 悔しいですが、吸血鬼たちの脅威に晒されるのは、 昨日今日のことではないのです。 あと少し討伐が延びたとしても被害は変わりません。 |
オリヴィエ | ああ、そうだな。 |
オリヴィエ | 全員に退くよう伝えてくれ。 |
リリ | あの、どこまで撤退しますか? |
ペンテ | あなたたちはどこへ行くつもりだったの? |
アルファ | ……あっちの方角、 森を抜けた先に街があったと思うのだけど。 |
リリ | その街なら、リリたちの拠点がありますよ。 |
フレイヤ | では、わたくしたちもそこへ参りましょう。 |
ドゥーエ | っ、吸血鬼の軍勢の姿が見えてきた……! |
オリヴィエ | 急ぐか。 |
リリ | 動けない人には手を貸してください! |
ゼータ | 追われるのなら、全員で移動するのは危険だ。 わかれて退いて、拠点で落ち合おう。 |
アルファ | それが良さそうね。 みんな、気をつけて―― |
字幕 | 分散して戦場を脱した者たちが、 続々と拠点のある街へ集合していた―― |
ベータ | 何ごともなく到着できましたね! |
イータ | ……遠距離移動は、面倒……。 |
イプシロン | 普段閉じこもってばかりだから、 この距離の移動を面倒に感じるのよ。 |
イータ | ……距離は、関係ない。 そもそも……移動は面倒……。 |
イプシロン | 言い直しても、 なるほどね! とはならないわよ。 |
イータ | 王女……彼女がいなければ…… わたしが、運んでもらえたのに……。 |
ベータ | 意識のある人は自分の足で歩いてください。 |
アレクシア | ……あの、運んでくれて、ありがとう。 何ごともなかったのなら良かったわ。 |
ドゥーエ | 気絶したもうふたりは、別行動中よ。 あなたのお仲間が運んでいるはず。 |
ペンテ | しかし、あなたたちは本当に何者なの? ひとりひとりから、並々ならない力を感じる。 |
オリヴィエ | ひとまず、敵……ではないようだな。 |
アルファ | (おかしいわ……) |
アルファ | デルタはまだ到着していないの? |
アルファ | (もしかして、また……) |
クレア | ……森へ駆けて行ったわよ。 イノシシを探すって……。 |
クレア | 呑気なものね……。 |
アルファ | そう……。 |
アルファ | (シャドウが…… いえ、シドが目の前で死んだせいで、 気力がないみたいね) |
デルタ | アルファ様~! |
アルファ | デルタ……と、ソレは……。 |
デルタ | イノシシ捕まえたのです! ショクリョウ! |
ゼータ | 危機感が薄いな。 |
デルタ | なんだと!? |
アルファ | やめなさい、ふたりとも。 ……それよりもゼータ、ガンマは見てない? |
ゼータ | ガンマなら拠点とやらの倉庫を調べてる。 何があって何がないのか。 在庫が気になるのは職業病ってヤツかな。 |
アルファ | そうなのね…… ゼータ、詳しい話をするからみんなを集めて。 |
ゼータ | みんなって? |
アルファ | 同じ時代から来た、みんなよ。 |
ゼータ | ガンマは? |
アルファ | 彼女は理解が早いから、あとで個人的に話すわ。 |
ゼータ | そう。わかった。 |
アルファ | ――というわけなの。 |
ゼータ | じゃあ、その不可逆の懐中時計を使っている 黒幕を捕まえて、 奪い取ればいいってことだね。 |
イプシロン | 元の時代に戻るための手がかりも、 その辺りにありそうですね。 |
イータ | ……面白い、アーティファクト…… ついでに、研究したい……。 |
ベータ | 研究はあとです。 それよりも黒幕の候補を絞らないと。 |
クレア | ……っ……その、アーティファクトを使えば、 シャドウと……そして、シドも生き返ることができる……? |
アレクシア | ええ、きっとそうよ、クレアさん! ポチが戻ってくるの! |
クレア | あの子のためなら、なんでもするわ。 どんな敵でも倒してみせる……! |
ローズ | そうですね。 気持ちは同じです。 彼が復活するのなら、いくらでも戦います。 |
559 | どんなに悲惨な現実の中でも、七陰の皆様は前を向いている…… 心が折れそうになるなんて、未熟でした。 全身全霊でアーティファクトを手に入れてみせます! |
ユキメ | ふふふ、何やら見えてきんしたね。 これが希望というものでありんしょう。 |
アルファ | (希望……確かにそうね。 みんなの顔が少し明るくなったわ) |
デルタ | 難しいのです…… そんなことより―― |
デルタ | お腹空いたのですーーー!!! |
イータ | ……うっ……うるさ……。 |
ドゥーエ | 何か話していると思えば、食事の相談? 呑気なものね。 |
ペンテ | まだ全員揃ってはいないけれど、 拠点に移動する? |
オリヴィエ | こちらもフレイヤやリリが揃っていないが、 そちらもまだのようだな。 |
オリヴィエ | どうする、待つか? それとも先に拠点を用意するか? |
アルファ | 後者が妥当ね。 時間を無駄に消費するのも、 迎えに行って入れ違いになるのも避けたいわ。 |
アルファ | あなたたちの拠点はないの? |
オリヴィエ | 小さい場所ならある。 だが倍近く増えた以上、手狭だ。 |
アルファ | じゃあ広い場所を探しましょう。 20人近い人数が留まれる場所はそう多くないわ。 |
アルファ | そうね。 早く休ませたい人もいるし―― |
オリヴィエ | ああ、彼女か―― |
クレア | かはっ……!? |
アルファ | ……え? |
字幕 | クレアに目を向けたアルファたちが見たのは、 後ろから腹部を貫通した刃だった。 |
クレア | っ……え……ぁ……シ、ド……。 |
アレクシア | クレアさん……!? |
ガンマ | ………………。 |
イプシロン | ガンマ……? あなた、何をしてるのよ!? |
ベータ | その姿は、なんなんですか!? |
アルファ | (冗談でしょう……?) |
アルファ | (デルタは暴走しなかったのに、 ガンマが魔力を暴走させているの?) |
アルファ | (未来が、変わっている……) |
アレクシア | よくも……よくもクレアさんを! |
アレクシア | なっ!? 防がれた……!? |
ガンマ | 次は私の番ですね。 |
アレクシア | ぐっ、ああ……ッ!! |
デルタ | ガンマが、弾き飛ばした……!? |
ゼータ | 変わったのは姿かたちだけじゃない。 強くなってるね。 |
ベータ | どうなっているんですか!? ガンマのパワーがあがっています! |
イプシロン | 動きも、速いわ。 俊敏で……これまでの彼女とは別人よ……! |
アルファ | (こうなったデルタの能力が上がっていたように、 ガンマの能力も底上げされている……) |
ガンマ | あはっ……はははっ! なるほど! 強者はこのような気分なのですね! |
ガンマ | お相手を意のままに蹂躙し、ぶっ壊して差し上げる! なんて気分がいいのでしょう! |
イプシロン | 何言ってるの、ガンマ!? そんな、あなたらしくもない……! |
ガンマ | ……はい? 私、らしい? |
ガンマ | 私らしいとはなんでしょう? |
ベータ | ガンマ……? |
ガンマ | それは、七陰『最弱』の私のことですか? |
ガンマ | あなたたちよりも弱く…… 戦うよりもお金を稼いでばかりの、 陰に隠れている、私のことを言っているんですか!? |
ベータ | っ、く……! |
ガンマ | 謀略とは所詮は弱者の武器なのです! |
ガンマ | だってどんな知将だって、少し小突いたら、 ぶっ飛んで壊れるのですよ!? |
ガンマ | そんなこと、赤ちゃんだって分かるでしょーがー! |
イプシロン | くっ、ガンマ! やめて! |
ガンマ | あなたも!! |
イータ | わわ……危ない…… 避けなきゃ、やられてた……。 |
アルファ | (どうにかして、ガンマを止めないと……) |
アルファ | (デルタの時のような結末は、迎えたくない!) |
デルタ | ガルル…… ガンマのくせに……! |
オリヴィエ | やりにくそうだな。 |
ペンテ | わたしたちが代わりましょう。 |
アルファ | え? |
ドゥーエ | ひとまず、拘束するわ。 |
アルファ | ……できるの? |
ペンテ | ええ、おそらく。 戦いぶりを観察していたけれど、 可能だと思うわ。 |
ガンマ | 私を下に見ていたんでしょう!? そんなこと、もうさせない!! |
ベータ | っ、違います! そんな風に思ったことはありません! |
ガンマ | そんなの……うっそじゃーん!!!! |
ベータ | くっ……! |
ガンマ | 月までぶっ飛ばして、クレーターをひとつ 増やして差し上げますわ! |
ドゥーエ | 代わるわ。 |
ベータ | でも……! |
ペンテ | 身内とはやりにくいものよ。 |
ペンテ | 大丈夫。力も速さもあるけど、 彼女には戦闘のセンスが感じられない。 不意打ちさえされなければ余裕で―― |
ガンマ | ぺぎゃッ!? |
ドゥーエ | がはっ!? |
ベータ | え。 |
イプシロン | え? |
イータ | 転倒……した、拍子に……。 |
アルファ | 剣が、刺さった……。 |
ペンテ | っ、いやあああああ!!! |
Episode 14
ベータ | 何ごともなく到着できましたね! |
アルファ | (ここは……) |
イータ | ……遠距離移動は、面倒……。 |
イプシロン | 普段閉じこもってばかりだから、 この距離の移動を面倒に感じるのよ。 |
イータ | ……距離は、関係ない。 そもそも……移動は面倒……。 |
アルファ | (また、戻った…… アーティファクトが使われたのね) |
アルファ | (ここは、拠点のある街に到着したところみたい。 イータの説明を借りるなら、 この時点がセーブポイントになっているのね) |
アルファ | (もっとも、イータ本人は、 私にアーティファクトの説明をしたことを、 覚えてはいないのでしょうけど……) |
クレア | ………………。 |
アルファ | (クレア・カゲノー…… 元気はないけれど生きている) |
アルファ | (目の前で死んだはずの人間が生きているのは、 なんだか不思議な感覚だわ。 死すらも恐れなくていいなんて――) |
アルファ | (そうだわ……!) |
アルファ | ガンマは? 彼女はどこ? |
ベータ | アルファ様? どうなさったんですか? |
ゼータ | ガンマなら拠点の倉庫を調べに行ったよ。 バカ犬はイノシシがどうのって飛び出したけど、 こんな状況でもそれって、本当にバカだよね。 |
アルファ | ……倉庫はどこかしら? |
ゼータ | ガンマに何か用でも? |
アルファ | シャドウが復活する件について詳細を話すわ。 彼女にも聞いてもらわないと。 |
ベータ | シャドウ様の……! いったいどうやって、あのお方は復活なさるのですか!? |
アルファ | それは全員揃ってから―― |
デルタ | アルファ様~! |
デルタ | イノシシ捕まえたのです! ショクリョウ! |
アルファ | ……よくやったわ、デルタ。 私は少し外すからこの場所でおとなしくしていなさい。 |
デルタ | がう? アルファ様、どこ行くのです? |
アルファ | 倉庫よ。 ガンマがそこにいるの。 |
デルタ | 倉庫? ガンマ? でもすぐ近くでガンマのにおいするのです。 |
アルファ | っ!? |
デルタ | その辺の―― |
アルファ | (まさか……!) |
イプシロン | アルファ様? |
ガンマ | くっ……! |
アルファ | させないわ。 |
クレア | な、なんなの? |
イプシロン | アルファ様が攻撃を防いだ……って、 もしかして、あなた……? |
イータ | ガンマ……? |
ベータ | その姿は……なんですか? どうして、そんな禍々しい魔力を……!? |
イプシロン | それに、なんで剣を? その剣で何をするつもりだったの!? |
アルファ | (杞憂であってほしかった) |
アルファ | (セーブポイントが設定されていた時点よりも前に、 ガンマはこうなってしまっていた……) |
ガンマ | どうして……防がれてしまったのでしょう…… この力があったとしても、私は最弱のままなの……? |
ガンマ | そんなはず……そんなはずないわ……!! |
ガンマ | 私は最強になったはずなのに……! 全部、おぶっ壊して差し上げられる、最強なはずなのに……! |
ガンマ | どんな天才も、剣で心臓ぶっ刺されたら死んじゃう! そんなの、赤ちゃんでも分かるはずなのに! |
ガンマ | 私、赤ちゃん以下なの!? あ、あかちゃーーーん!!!! |
イプシロン | なっ!? ガンマ、やめなさい! |
ゼータ | くっ……なんて、力だ…… これまでのガンマとは比べ物にならない! |
デルタ | ぐるる……っ! ガンマのくせに……! |
ガンマ | そうやって! いつも私をバカにして……許さない!! |
アルファ | (セーブポイントよりも前に起きていた事象は、 今の私たちには手の打ちようが、ない……) |
アルファ | (シャドウの死と同じ…… タイムリープのアーティファクトを手に入れるまで、 もとに戻ることは……ないのだわ――) |
ガンマ | あははははっ! ははっ、はははははっ! 天才の心臓、ぶっとーばせー!!!! |
謎の男A | 赤黒く濁った魔力…… 魔人化が始まったようだね。 |
謎の男B | フン、くだらん。 所詮は魔力の暴走にすぎない。 手に負えない力に意味などあるものか。 |
謎の男C | とは言いますが、 その力こそ我々の求めるものです。 今はこの時を喜びましょう。 |
謎の男D | 動向から目を離すな。 あの力があれば、 我らの崇高な目的が叶う日も近いのだから―― |
第二章に続く…
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