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【カゲマス】外伝「散りゆく陰への鎮魂歌」第一章 1000年の時を超えて(WEB小説スタイル)

カゲマス!

陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン「散りゆく陰への鎮魂歌レクイエム」を文字で読みたい方のために文字起こしをしました!

どんなお話か気になる方や情報を整理したい方は是非お読みください! 

第二章↓

登場キャラクターや最新情報まとめ↓

Episode 1

©坂野杏梨・逢沢大介・KADOKAWA刊/シャドウガーデン
盗賊ボスギャハハハハ! お前たち、もっとだ! もっともっと、呑みやがれ!
盗賊ボス今日の戦利品は、お宝揃いだ! 街で売りさばけばいい値段になるぜぇ!
盗賊Aへへっ、特に香辛料の類いは高く売れそうですね。 なかにはよく分からない、不気味な時計もありますが。
盗賊ボス時計? そんなもんあったかあ? 手当たり次第強奪したからなあ、よくわからねぇや。
盗賊たちギャハハハハ!
シドギャハハハハハハハ! ヒャッハァー!!!!
盗賊ボスなんだてめぇ!? いつからそこに!?
シドいやあ、実は訳ありなんだ。 金庫に貯めた金貨を盗まれちゃってねえ。
シド怒られるの怖いからさ、君たち盗賊から はした金でも回収して、少しは誠意を見せようって思って。
盗賊ボスわけのわからねぇことを……。 おいお前ら、やっちまえ!
シドお、その台詞モブっぽくていいね。 僕も今度使わせてもらおうかな。
盗賊B死ねぇぇぇ!
盗賊Bガハッ!?
シドうーん、脆い。 ちゃんとカルシウム摂った方がいいよ。
盗賊ボスてめえ……ぶっ殺す! おりゃあああああああ!
盗賊たちうぎゃあああああああ!?
シドあっ……マズイ。 この魔力は……。
アルファ……シド。
シド……アー、ドウモ、オヒサシブリデス。
アルファあなたが、どうしてここに?
シド(うわあ、これマジで怒ってるよ。  バックレた僕を糾弾する気満々だよ)
シド(怖いなあ、アルファ。すごい睨んでるなあ。  泣いちゃいそう)
???貴様ら、何者だ?
アルファ……やはり、いたわね。 この魔力量、ただの盗賊じゃない。
シド誰?
???傭兵ではないな。盗賊にも見えん。 何が目的だ。
アルファあなたを追ってきたのよ、 チルドレン1stのナニガーシ。
ナニガーシ………………。
アルファあなたの目的は知らないけど、盗賊の一団に紛れて、 何やらこそこそしてるって情報があったの。
シド(そうなの?)
アルファもっとも、情報の出処が不確かで、 半信半疑ではあったけどね。
ナニガーシ聞いたことがある。 貴様ら、シャドウガーデンだな?
アルファだったらどうするのかしら?
ナニガーシどうもせん。相手が誰であろうと、 ここで葬り去ればすべては同じこと。
ナニガーシチルドレン1stである、我の実力を見せてくれる。 派手に散れぇ!!!!
ナニガーシぐはあっ!?
アルファこれでいいわ。 殺してはないから、意識が戻ったら尋問しましょ。
シドうーん、あっけない。 このおっさん、何がしたかったんだ?
アルファ積み荷を確認しましょう。 重要な物が紛れてるかも。
アルファ……それらしいものはないわね。 ちょっとしたお金になりそうなものはあるけど、 本当にただの盗賊って感じね。
シド(わあ、すごい。この香辛料、売れば銀貨3枚にはなるぞ。  盗賊って儲かるんだなあ)
アルファねえ、ところで。
シドは、はいっ!
アルファどうしてあなたがこんなところにいたの? 有象無象の盗賊を、いまさらあなたが 相手にする価値なんてないでしょ。
シドそ、それは……。
シド(こうなったら……)
シド……価値なら、あるよ。
アルファえっ。
シド僕にはこの盗賊の積み荷は、非常に価値があるように見える。 だからアルファたちにプレゼントしようと思ったんだ。
シド(どうだ!? 金庫から消えたお金からしたら、  全然足りないけど……)
シド(少しでも足しにしてほしいっていう、  純粋で子供っぽい言い方で感動させる作戦だ!)
アルファっ! この感じ! 強力な魔力!
シド(な、なんだ急に……。いままで何も感じなかったのに)
アルファこの積み荷の下だわ!
シド(あー、なんだか懐かしいなあ。  こうやってアルファとかウィクトーリアちゃんも  拾ったんだよなあ)
シド(まさかまた、〈悪魔憑き〉の子が……)
アルファ……何かしら、これ? 懐中時計?
アルファ魔力の発信源はこれね……。 もしや……アーティファクト?
シドわお。
アルファナニガーシは、これを教団に献上して、 ラウンズにしてもらおうとか考えていたのかしらね……。
アルファはっ!? シャドウあなた! まさか最初からこの存在を知っていて……!
アルファ価値があるように見えるって言ってたのは、 このアーティファクトのことだったのね。
アルファなんて人なの。シャドウガーデンの捜査網をもってしても、 ナニガーシの存在までしか分からなかったのに……。
シド(……よくわからないけど、うまくごまかせた?  ラッキー! 言ってみるもんだね!)
謎の声……来て。
シドえっ?
アルファどうしたの?
謎の声……お願い、来て。 あなたの力が……必要なの。
シド……喋ってるの、この時計かな?
シド(ははーん、これはアレか。  言われるがままに封印を解いたら、  変なマスコットと契約させられるあの展開か)
シド(やっぱりお約束ってどの世界にもあるんだなー。  だけどこういうのって主人公の役目だから、  絶対にごめんだし……)
シドアルファ、ちょっと貸して。
シド(封印を解くんじゃなくて、  代わりに全力で魔力を流し込めば……)
アルファシャドウ、何を!?
シド(逆に従わせることができるかも!?)
シドやっぱり、陰の組織ひとつに一匹は、 マスコットとかほしいよねー!

Episode 2

©坂野杏梨・逢沢大介・KADOKAWA刊/シャドウガーデン
アルファ………………。
アルファ……えっ? ここは、何?
デルタがう!? デルタのイノシシは!?
アルファ(え?)
イータうう……眩しい…… 徹夜明けの直射日光は、ダメ……。
イプシロン何が起きたのかしら? 今まで王都にいたはずなのに……。
ベータ見たところ長閑な田舎のようですね。 それまでいた場所から一瞬で移動した…… 理屈がまったくわかりません。
ガンマ別々の場所にいたはずなのに、 1か所に揃うというのも不思議な話……あっ、デルタ! どこに行くつもり!?
デルタデルタのイノシシ、まだその辺にいるはず……!
ゼータバカ犬が単独行動するのなら、 私もそうさせてもらおうかな。 状況把握のためにも情報を集めないと。
アルファいいえ。単独行動は控えてちょうだい。
全員アルファ様!?
アルファ何故こうなってしまったのか分からないけど、 今はまとまって一緒にいるべきだわ。
アルファコトの発端は、おそらくシャドウが――
アルファっ? 今の揺れは……魔力の衝突?
ゼータ視認できない距離で起きた衝突の余波かな? ソレが届いたとすると…… かなり大きな戦闘が起きているのかもしれない。
デルタ強いやついる? 行ってみるのです!
アルファ状況を把握する材料になるかもしれないわね。 情報共有は移動中にしましょうか。
ベータに似ている少女くっ……実力が、違いすぎる……。
イプシロンに似ている少女わたしたちでは、遠く、及ばないの……?
巨大な魔力の塊所詮は寄せ集めの有象無象……。
巨大な魔力の塊貴様らは特にそうだ。 ふむ……数合わせか。
アルファに似ている少女……どうだろうな。
リリリリたちはみんな仲間です! 有象無象なんかじゃありません! だから――
リリリリたちは……リリは…… みんなと力を合わせて、あなたを倒します……! 吸血鬼から人々を解放するために……!
???彼女の言うとおりです。
リリフレイヤさん……。
フレイヤ今日こそ戦いに終止符を…… これ以上、吸血鬼の好きにはさせません!
巨大な魔力の塊吸血鬼もまた有象無象に過ぎぬ。 どうでもいい存在……と言ったところで、 貴様らは納得しないのであろうが。
巨大な魔力の塊……耳障りなさえずりも聞き飽きた。 数が増えた分、余計にな。
アルファに似ている少女増えた……?
ユキメはて、何が何やら……。 いつの間にか、見覚えのある顔がありんすなぁ。
クレアここは……? 学園の敷地には見えないけど……。
559おい、どうなってる?
ローズわ、私も全然状況が……。
アレクシア状況を整理するのはあとにして。 今はそんなことをしている場合じゃなさそうよ。
アルファに似ている少女誰だ……?
リリいつから、そこに……?
巨大な魔力の塊……なんでもいい。 まとめて消えろ。
フレイヤっ!?
アルファに似ている少女まずいな……。
アルファみんな! ここは退いて――
ベータに似ている少女そうはさせない!
フレイヤドゥーエ!
巨大な魔力の塊我が前に立ちはだかる資格もない弱者よ。
シドあれ、姉さんたち? 良かった、ひとりかと思ったよ~。
クレアシド!?
巨大な魔力の塊……すさまじい魔力量。 貴様、何者だ?
巨大な魔力の塊いますぐ散れぇ!!!!
シドあ。
ベータに似ている少女きゃああっ!?
アルファな、なんて威力!?
アレクシア吹き飛ばされる……!
クレアし……シドぉぉぉぉぉぉ!!!!

Episode 3

字幕巨大な魔力の塊による攻撃がシドに直撃する。 力の衝突による土煙が晴れたその場所には、 何も残っていなかった――
ゼータぐっ、直撃していないのに、 なんて無茶苦茶な威力……。
イータうう、頭、痛い……。 岩にぶつけた……。
アルファみんな、無事!?
アルファに似ている少女何人か倒れているぞ。
ベータ……王女、クレアさん、ローズ王女。 大丈夫。みんな、気を失ってるだけです。
アルファそ、そう……。 良かったわ……。
デルタ……ボス。
アルファえっ?
デルタボスはどこいった? かくれんぼ、してるのです?
アルファシャドウならきっと、そこに……。
アルファ……いない?
アルファ(彼の気配が感じられない)
アルファ(いくら直撃したとはいえ……。  まさか……そんな……)
デルタボス……? ボスはどこ?
イプシロンう、嘘ですよね? どこかに身を隠していらっしゃるんですよね!?
ガンマシャドウ様!! シャドウ様!? どちらにいらっしゃるのですか!?
ゼータ……嘘だろ? 主が、まさかあんな奴に……?
イータ跡形もない……。
アルファ気配は……消えた……。 だけど、彼の魔力は紛れもなく……。
巨大な魔力の塊……………………。
イプシロンシャドウ様ぁぁぁ!!!!
アルファシャドウの魔力は…… 奴の……巨大な魔力の塊の中に、ある。 まるで、飲み込まれているかのように――
フレイヤそれが奴の能力のひとつです。
アルファっ、あなたは?
フレイヤ自己紹介をしている時間はありません。 奴は相手の魔力を吸収して己の力に変える能力があります。
フレイヤただでさえ驚異的な力を持っているのに、 匹敵するほどの魔力を持つ男の力を吸収しているなんて……。
デルタさっきからみんな、何言ってる? ボスは死んでない。あんな奴に負けるわけない。
ガンマデルタ。気持ちは分かるけど――
デルタうるさい! ボスは死んでない!
デルタボスは、あいつの中にいる……! デルタも一緒に戦うのです! ガルルルァァ!!!
アルファデルタ!?
ゼータ魔力を吸収しきる前に、消す。
アルファゼータまで……!
ベータアルファ様、私も……。 私も、絶対に許せません!!!!
アルファベータ!?
イプシロンシャドウ様を……シャドウ様を返して!!
ガンマアルファ様、どうか止めないでください。 私は……私は……っ! 失礼します……!!
アルファガンマ…… イータ、あなたも行くつもり?
イータ彼を負かした相手に、勝てるとは思えない…… でも……止められない……。
アルファイータ……。
イータ気持ちは、同じ…… 七陰、全員……そうでしょう?
アルファ……ええ、そうね。みんな同じだわ。 行くわよ、イータ!
ユキメ一緒にいた時間が長い分、 アルファさんたちの苦しみは大きなものでありんしょう。 わっちでさえ、こんなにも胸が痛いのだから……。
559こんなところで……退けない。
ユキメはい?
559足が震えていても……立ち上がる……。
559怯えて、足を震わせているわけにはいかない。 シャドウ様たちが作り上げてこられた組織の一員として…… 私は戦う!
559……そこで気絶している彼女、起こしておいてください。 そんなのでも腕は確かな、戦力ですから。
ユキメええ、わかりんした。
559シャドウガーデンの名に恥じない、戦いを! はあああっ!!
イプシロンに似ている少女何者なのかは分からないけど、 戦力の揃っている今が好機よ!
リリ待ってください、ペンテさん! 大変なんです!
リリこちらへ吸血鬼の軍勢が接近しています!
ユキメ吸血鬼の軍勢? 何故でありんすか?
フレイヤ吸血鬼は奴の配下なんです。 力が増しているのを察して動き出したのでしょう。
フレイヤ聖教の旗印の下で戦う、 抵抗勢力であるわたくしたちを一気に潰すために…… ここは1度撤退して体勢を整えましょう。
アルファに似ている少女フレイヤ、撤退はナシだ。
ドゥーエそうよ。近くの街や砦に逃げれば奴らは追ってくる。 そして罪なき人々を手にかけるわ。 そんなの、ダメ……だから、ここで叩く。
フレイヤ待ってください。 さらに強力になったディアボロスと、吸血鬼の軍勢。 両者を相手に勝ち目はありません。
アルファに似ている少女勝ち目があるかないかは、あまり興味がない。 別に、負けたら負けたで、それまでだからな。
フレイヤオリヴィエ……。
リリ戦いましょう。 リリたちが戦わないと被害が大きくなります。 みんなを守るんです!
ユキメ気を失っている彼女たちはわっちが護りんしょう。 気にせずお役目を果たしておくんなんし。
オリヴィエ見えてきた。 軍勢というだけあるな。 すごい数だ……行くぞ!
アルファはぁ、はぁ、はぁ……。
アルファは、はは……は……っ、ぅ……。
字幕肩で息をするアルファ。 彼女は乾いた笑い声を漏らしながら、 ひと筋の涙をこぼした――
巨大な魔力の塊吸血鬼たちの雄叫びが聞こえるか? あちらも終わったようだ。
巨大な魔力の塊頼んでもいないのに勝手に従うのだ。 強者におもねり、はべるのは、どんな種でも同じらしい。
アルファ(デルタ、ベータ、イータ、ゼータ、  イプシロン、ガンマ……)
巨大な魔力の塊残っているのは、貴様ひとり。 絶望と孤独の中にいるのであろうな。 だが、それももうしまいよ。
巨大な魔力の塊と、もう聞こえておらんか。
アルファ(最期の瞬間を、  ひとりぼっちにはさせたくなかった……  ちゃんと、みんなを見送れたわ……)
巨大な魔力の塊塵芥となれ。
アルファねえ、シャドウ…… 褒めてくれるでしょう?
字幕強大な魔力による攻撃が直撃し、 アルファの意識は途絶えた。

Episode 4

©坂野杏梨・逢沢大介・KADOKAWA刊/シャドウガーデン
デルタボス……? ボスはどこ?
アルファ(え……?)
イプシロンう、嘘ですよね? どこかに身を隠していらっしゃるんですよね!?
アルファ(これは、どういうこと……?)
アルファ(何が起きて……?  私たちは負けて、全滅したはずじゃ……?)
ガンマシャドウ様!! シャドウ様!? どちらにいらっしゃるのですか!?
ゼータ……嘘だろ? 主が、まさかあんな奴に……?
アルファ(それに、このやり取り……  確か次はイータが――)
イータ跡形もない……。
イプシロンシャドウ様ぁぁぁ!!!!
アルファ(さっきと、同じことが起きてる……?  どうなっているの?  私はこの先で何が起こるか知っている)
アルファ(未来を視た? それとも――)
アルファ(時間が戻った……?)
フレイヤ残念ですが、彼は死にました。
デルタお前……!!
フレイヤしかし嘆いている場合ではありません。 時は一刻を争います。 奴には恐るべき能力があるのです。
オリヴィエああ、面倒な能力だ。
デルタお前、なんなのです!? アルファ様みたいな顔して!
オリヴィエアルファ……? 違う。 私はオリヴィエだ。
アルファオリヴィエ……? その名前と姿は……。
ガンマう、嘘みたいな、話ですね……。
ベータ目の前にいるのが、あの……?
リリオリヴィエさんのお知り合いですか?
ゼータそういう、あなたは……リリ様?
リリへ? どこかでお会いしましたか?
ゼータ………………。
リリ………………。
フレイヤ話はあとです。 時間がありません。
フレイヤ奴は相手の魔力を吸収して己の力に変える能力を持っています。 今はあの男の膨大な魔力を変換しているところです。 完全に吸収を終える前に、奴を――
オリヴィエディアボロスを討たなければならない。
アルファディアボロス……?
ゼータディアボロスって、魔人ディアボロス……? 1000年前に死んだはずの……?
リリい、いえ。ディアボロスはずっと、 吸血鬼を率いてこの世界を――
デルタボスは死なない!
アルファデルタ?
デルタコイツらてきとーなこと言ってる! ボスは死んでない!
リリあ、あの。 現実を受け入れるのはツラいことかもしれませんが、 あの方は――
デルタうるさい! あんなヤツよりボスは強いのです! ボスは負けない!!
アルファ(いけないわ……  このままだとデルタが飛び出して、さっきのように――)
アルファデルタ、落ち着きなさい。
デルタアルファ様!
アルファみんなも冷静になって。 難しいのはわかるけれど、状況を考えてほしいの。
選択肢A-1シャドウは死んだ。

Episode 5 (選択肢A-1)

©坂野杏梨・逢沢大介・KADOKAWA刊/シャドウガーデン
アルファそれが現実よ。 受け止めてちょうだい。
ガンマですが……っ! この怒りを、虚しさを、悲しみをどうすれば……!
アルファ本当にディアボロスなのかはともかく、 シャドウを倒すほどの強敵だというのは間違いない。 なんの情報も準備もなく突っ込めば、全滅するわ。
アルファ私だって、気持ちは同じよ。 悔しくて苦しくて……飛び出して行ってしまいたい。 だけど――
アルファ彼が生み出したシャドウガーデンの存在意義と、 私たちのすべきことを忘れないで! 今は私情を捨てなさい!!
ガンマくっ……っ……アルファ様が、そう仰るのなら……。
イプシロンシャドウ様の意志を、守らないと…… いけません、よね……。
アルファみんな……。
アルファわかってくれて、ありがとう。 これからの動きは――
デルタ違うのです!!
アルファデルタ……。
デルタアルファ様うそつき!!
デルタボスは死なない! 死んでないのです!!
デルタみんな……お前たち、ヘン!! なんでボスが負けたと思うのです!? ヘン! 違う! ボスは死なない!!
アルファデルタ……あなたにもわかるはずよ。 シャドウは死んだ。 今すべきことを考えなさい。
デルタっ……違う……違う……!! だって……ボスは強くて、すごくて……がる……っ、うう…… うううう……あああああ!!!
デルタガルルルァァ!!!
ガンマデルタ? どうしたの?
ベータ姿が変わった……? そ、それに、雰囲気も……。
デルタガアアアアッ!!
攻撃躱す
イプシロンな!? やめなさい、デルタ!!
ゼータ雰囲気が変わったと言うより、 理性を失ってる感じだね。 これじゃ…大バカ犬だ。
イータすごい、力……。 当たったら、死ぬかも……。
デルタグルァァアアア!
アルファデルタ!!
アルファくっ……!
アルファ(なんて力なの……!?  明らかに、これまでのデルタとは違う……!)
デルタグルァァアアア!!!
リリきゃあっ!
アルファ(まずいわ。見境なく攻撃を……)
ガンマアルファ様、どうしますか? 今のデルタは手に負えません!
ベータこちらの声が届いていない…… デルタはどうしてしまったんでしょうか?
アルファ(このままだと魔力を吸収し終えた奴が動き出してしまう。  デルタと両方を相手にできる?)
アルファ(いいえ、無理だわ。  そんなことをすれば、同じ結末を辿るでしょう。  だとすれば選択肢は――)
アルファ全員、分散して撤退よ。そっちのあなたたちも。 動けない人には手を貸して。 戦線を離脱するわ!
フレイヤみんな、彼女の言う通り退きましょう。 奴の状態が変わったのです。 対策を立てる必要があります。
オリヴィエ……わかった。
ゼータどこで落ち合う?
フレイヤひとまず、わたくしたちの拠点へ参りましょう。
ドゥーエそれがいいわ。 誰かしらについてくればいい。
アルファ……そうしましょう。 みんな、必ず生きて辿りついて。 これは命令よ。
ガンマはい。必ずや遂行いたします。
ゼータ……ねえ。
アルファ何?
ゼータ妙なこと、考えてないよね?
アルファ……ええ、もちろんよ。 変なことを言うのね。
アルファ(私は――)
選択肢B-1拠点へ向かう。
選択肢B-2デルタを追う。
アルファ時間がないわ。 みんな、急いで移動するわよ。

Episode 6 (選択肢B-1)

アレクシアはあ、はあ……。
アルファ少し休憩にしましょう。 さっきまで倒れていたのだから、満足に動けないでしょう。
アレクシア気遣ってもらわなくてけっこうよ。 早く行きましょう。
アルファ気遣う? 疲労したまま移動するのは効率が悪い。 だから言っているの。
オリヴィエ周辺に敵の気配はない。
ベータでは、休憩を兼ねて情報を整理しましょう。
イプシロンちょっと。 なんでベータが仕切ろうとしてるの?
ベータ仕切るだなんて、そんなつもりはありません。 こんな状況でも言いがかりをつけてくるなんて…… 私は提案をしただけです。
アルファやめなさい、ふたりとも。
ベータ&イプシロンっ、はい……。
アレクシアまさかシャドウガーデンと 行動を共にすることになるなんてね……。
ペンテシャドウガーデン? それがあなたたちの組織の名前なの?
ドゥーエもしかして……あの少年も、 その組織の一員だったのかしら?
アレクシアいいえ、違うわ。 ポチは……彼の名前はシド。 どこにでもいる、普通の少年よ。
ドゥーエそう。……きっとディアボロスの意識が彼に向かなければ、 わたしはそのまま突っ込んでいって、消されていた。
ドゥーエわたしに力がないばかりに……。
ペンテ自分を責めないで。 あなたが苦しむとわたしの胸も痛くなるわ…… 丁寧に彼を弔いましょう。わたしも一緒に死を悼むわ。
イプシロン……なんか、ムズムズするわね。
アレクシアあなたたちはシャドウガーデンじゃないの? だったら、いったい誰?
オリヴィエお前たちこそ、誰だ? シャドウガーデンなんか、聞いたこともない。
アルファ軽く、自己紹介しておきましょうか。 私はシャドウガーデンのアルファ。
アルファこっちは端から順に、ベータ、イプシロン、イータよ。
アレクシア私はアレクシア・ミド……いえ。 紅の騎士団のアレクシアよ。
オリヴィエ自分の名はオリヴィエ。 こっちは仲間のドゥーエとペンテだ。
ベータアルファ様…… 荒唐無稽な話かもしれないのですが、 よろしいでしょうか?
アルファその荒唐無稽な話は、 おそらく私も考えていたことよ。 彼女たちの姿を目にした時からね。
ベータオリヴィエを名乗るエルフと、 ディアボロスと呼ばれた巨大な魔力の塊――
ベータここは、およそ1000年前…… 過去の世界なのではないでしょうか?
イプシロンそうね。敵の正体が魔人ディアボロスなら、 あの強さも納得できる……かもしれない。 認めたくはないけど。
ドゥーエオリヴィエ、今の話を理解できた?
オリヴィエいや、まったく。
ペンテ不思議、ね。 話の内容もだけれど、彼女たちの見た目も……?
オリヴィエ待て。 なんの話をしているんだ? まったく理解できない。
アルファ理解が及んでいないのは私たちも同じよ。 それにもうひとつ、 よくわからない現象が起きているの。
アレクシアよくわからない?
アルファええ、これもまた荒唐無稽な話になるわ。 実を言うと――
アルファ私の時間が巻き戻ったの。
アレクシア時間が、巻き戻った……!?
アルファそうね……仮にソレを時間軸と呼びましょう。 1度目の時間軸では、 あの場にいた全員がディアボロスと吸血鬼の軍勢に殺されたわ。
イプシロン吸血鬼の軍勢……?
アルファディアボロスの援軍よ。 私は最後まで立っていたけれど、 ディアボロスの手にかかって息絶えたわ。
アルファでも次の瞬間、シドが死んだ瞬間に戻っていた。 そしてみんなが1度目の時間軸と同じ言葉を紡ぎはじめたの。
アルファこのままでは同じ未来を辿ることになる…… そう思って撤退を告げたのだけど――
イプシロン少しだけ、変だとは思ったんです。 アルファ様はひとりだけ、冷静でいるように見えたので……。
アルファ信じてくれるの?
イプシロンもちろんです。 アルファ様の言葉を信じます。
イータ……なるほど……。
ベータイータ? 何がなるほどなの?
イータ……文献で、見たことがある…… 時間を、戻す……アーティファクト、のこと……。
イプシロンええっ!? そんなものがあるの!?
アルファ……イータ。もしかしてそれは、 懐中時計のかたちをしている?
イータそう。不思議な懐中時計。
アルファやっぱり……。
ベータ何かご存じなんですか?
アルファええ。この世界に飛ばされる前、 シャドウと盗賊を狩っていたのだけど……。
アルファ盗賊に紛れていたチルドレン1stがいて、 彼の持ち物と思われる、アーティファクトが見つかったわ。
アルファそしてシャドウが、アーティファクトに 魔力を込めた瞬間、気づいたらこの世界にいたの。
ベータそ、そんなことが……。
イータ……ソレは『不可逆の懐中時計』というアーティファクト。 任意の場所をセーブポイントとし、 保有者は、その地点にタイムリープすることができる。
アルファタイムリープ…… でも私はそのアーティファクトの保有者ではないわ。 それなのにどうして前の時間軸の記憶があるの?
イータ記憶を保持できるのは、保有者ともうひとりだけ……。 そのもうひとりが、どうやって選ばれるかは不明……。
イータだけど、アルファ様が保有者じゃなくて、 記憶を保持しているのだとしたら……。
イータ必ずすぐ近くに、保有者がいる。 『不可逆の懐中時計』を起動させた……何者か。
アルファあそこにいたのは私たち七陰と559――
アレクシア私とクレアさん、ローズ王女、ユキメさん。 それから彼女たちよ。
オリヴィエあの場にいた仲間は、自分を入れて10人だ。
イプシロン22人……。
アルファ少なくとも、ね。 もしかしたら姿を隠していた者がいた可能性もあるわ。
アルファ現段階で保有者の特定は難しいわね。
ベータ不可逆の懐中時計と、 私たちを1000年前の過去に移動させたアーティファクトは、 同じものなんでしょうか?
アルファイータ、どう思う?
イータ……アーティファクトには、謎が多い…… だけど、時間を操るアーティファクトは強力で希少…… 同時にふたつある可能性は、低そう……。
アルファそうなのね…… だったらまずは不可逆の懐中時計に専念しましょう。
イータ不可逆の懐中時計を使えば…… 犠牲が出る前……マスターが死ぬ前に……時間を、戻せる……。
イプシロン死すらも、なかったことにできる…… そうなんですね? アルファ様!
アルファええ、現に死んだはずの私たちは、 生き返ることができたわ。
アレクシアちょっと待って。シャドウが死ぬ前って…… ど、どういうこと?
アルファ(……そうか。  彼女はシドがシャドウであることを知らない)
アルファ(この先、一緒に行動するにあたり、  隠し続けるのも大変ね)
アルファ(だけど、正体を隠していたのは彼の意思。  私たちがその秘密を漏らすわけにはいかない)
アルファ(だったら……)
アルファそうよ。彼もディアボロスに負けた。
アレクシアっ!?
アルファあの少年が消し飛ばされたあと、すぐにね。 まったく抵抗も出来ず、あっけなく。
アレクシアそ、そんな……。 あの、シャドウが……?
アルファ(これでいいわ。時間を戻すことで私たちはシャドウを救えて、  彼女たちはシドを救うことができる。……目的が一致したわ)
アルファ(それにしても……)
アルファ保有者……一連の黒幕は何を考えて、 私たちをこの時代へ呼び出したのかしら?

Episode 7 (選択肢B-2)

アルファ時間がないわ。 みんな急いで移動するわよ。
ベータはい!
アルファ出てきなさい。
アルファ………………。
アルファ隠れて隙を窺っているの? 甘く見られたものね。
アルファあなたが狙っているのはその辺の獣ではなく、 私……アルファなのよ。
デルタグルルル……。
アルファデルタ…… 今のあなたと言葉を交わせないことは、 とっくに理解しているわ。
アルファだから――
デルタガルルルァァ!!!
アルファハッ!
アルファ力ずくで、あなたを止める!
アルファもう、あなたに仲間を傷つけさせたりしない。 そして……あなたを失ったりもしないわ!
デルタグルァァアアア!!!
アルファはぁ、はぁ、はぁ……。
デルタグ、ルル……。
アルファくっ……馬鹿力にも、ほどがあるわよ…… ねえ、デルタ……!
デルタグルルル……ガ?
アルファ(動きが、止まった?)
デルタ……グルルル……。
アルファ!! この気配――
アルファ吸血鬼の軍勢……!?
デルタガルルルァァ!!!
アルファダメッ、デルタ!! ぐっ……かはっ……!
アルファ(血……内臓も損傷してる……  きっとデルタも……)
アルファそんな身体で、吸血鬼の軍勢と戦うつもりなの……?
アルファ……あなたが戦うなら、私も戦うわ。 どんな結果になろうとも、デルタをひとりにはしない。
アルファそう、決めていたの。
字幕ボロボロの身体でアルファは戦場へ向かう。 そして彼女は暴れ回るデルタと共に吸血鬼を撃破していくが――
字幕身体はとっくに限界を迎えていた。 彼女たちは押し寄せる吸血鬼の軍勢に敗れ、 命を散らしたのだった――
©坂野杏梨・逢沢大介・KADOKAWA刊/シャドウガーデン

Episode 8 (選択肢B-1続き)

©坂野杏梨・逢沢大介・KADOKAWA刊/シャドウガーデン
オリヴィエこの森を抜けたら小さな街がある。 大きくはないが、ひと通り生活はできる。
オリヴィエ通常はよそ者が入って来たところで、さして気にもされないが…… これだけ一気に増えると、どうだろうな。
アルファ………………。
アレクシア………………。
ドゥーエ空気が……重い……。
ベータアルファ様……えっと……あっ、そういえば!
ベータ彼女と私、顔がそっくりだと思いませんか?
ドゥーエえ? わたし?
ベータそれに彼女は――
ペンテわたしは、こちらの彼女に似ているわね。
イプシロン………………。
ペンテえーと……不満、なのかしら……?
イプシロン………………。
ペンテえ? ええ? なんで近づいて――
イプシロン確認のため……よっ!
ペンテきゃあ!?
ドゥーエなっ!?
イプシロンこ、この胸は……!
ドゥーエえっ、ちょ、は、離れなさい!!
ドゥーエだ、大丈夫?
ペンテううっ……今日会ったばかりの人に、 こんなに激しくされるなんて……。
イプシロンやっぱり……そう、だったのね……。
ドゥーエちょっとあなた! いきなり胸を、も、揉むなんて! なんのつもり!?
イプシロン……ん、で……なんで――
イプシロン似てるのが顔だけなのよ……っ!
ベータ似ていない? よくわからないんですけど、 どこか似ていないところがあるんですか?
ベータ私と彼女のように、 ふたりもそっくりだと思うんですけど?
イプシロンなんですって!?
ベータええっ!? なんで急に怒るんです!?
イプシロンあなたが何もわかっていないからよ! 似てほしいところはソコじゃないの!
ベータはい? 意味がわかりません。 急に怒り出してなんなんですか?
イータ……うう……うるさ……。
オリヴィエよくわからないが、喧嘩は良くないぞ。
イプシロンあなたには関係ないでしょ?
オリヴィエまあ、そうだな。 だがその顔同士が喧嘩するのは違和感があってな。
オリヴィエ自分が見慣れているのは、アレだ。
ペンテあんな風にされるなんて、驚いちゃった。 動揺しすぎ、よね……。
ドゥーエそんなことないわ。 当然の反応よ。 だって、あんなこと……その……。
ペンテ親しいあなたにだって、されたことない、し……?
ドゥーエ……ええ。あんな乱暴になんて……。
イプシロン……やっぱり、ムズムズするわ。
イプシロン私と似た顔の人とベータに似た顔の人の距離が、 かなり近い光景……なんだか、微妙ね。
ベータその気持ち、わかります。 私もなんだかムズムズ…… いいえ、ゾワゾワしますから……。
オリヴィエ似ているのは外見だけ、か――
アルファ止まって!
オリヴィエん?
アルファこの気配……来るわ!
アレクシアえ? 来るって、何が――
デルタガルルルァァ!!!

Episode 9

©坂野杏梨・逢沢大介・KADOKAWA刊/シャドウガーデン
アレクシアがはっ!?
ベータアレクシア王女……!!
アレクシアっ、う……ひゅ……ぐ……ぁ……――
デルタグルルル……1匹ィィィ……。
デルタ次はァァァ……お前だァァァッ!!
ドゥーエうっ!? く……なんて、重い攻撃……ッ!
ペンテっ、離れて!
ペンテ当たらない……!?
デルタガアァァァ!!
オリヴィエ何!?
オリヴィエぐっ……! こちらを見ずに攻撃をしてくるとは……!
イータ……なんの、予備動作もなく……攻撃した…… これまでの……デルタより……冴えてる。
イプシロン野性的な勘が鋭くなってるのかしら?
デルタグルァァアアア!!
デルタデルタの獲物ォォ……!
ベータデルタ! やめて! どうしてこんなことするんですか!
デルタグルアアアア! うるさいっ!!! デルタより弱いお前が、デルタに命令するな!!!
デルタ弱い奴、死ぬ。 強い奴が、殺す。 それだけ! それで、全部!
アルファ話が通じない以上、倒すしかなさそうね。 縛り上げてでもおとなしくさせるわ。
アルファ(とは言ったものの……)
デルタガルルルァァ!!!
アルファ(さっきよりさらにパワーアップしてる、わね。  もしかすると、私よりも――)
デルタグ、ガ……アアァァアァァ!!
ベータっ、う……デル、タ……ど、して……――
デルタガルルルァァ!!! あとぉ……2匹ィィィ……。
デルタ全部、殺す! デルタが殺す! 全部殺したら、デルタがいちばん! デルタがいちばんなら、ボス、褒めてくれる!
デルタ殺すッ!! 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!! ウガアアアアアア!!!
オリヴィエく……無尽蔵の体力か……。
アルファっ……ベータまで……。
オリヴィエ5秒だ。
アルファえ?
オリヴィエそれが限界だ。
アルファちょっと、あなた――
デルタグルァァアアア!!
オリヴィエうぐっ!
アルファ(捨て身の攻撃……!)
オリヴィエ今だッ!!
選択肢C-1デルタを殺す。
選択肢C-2デルタを生かす。

Episode 10 (選択肢C-1)

アルファ(本当に、こうするしかないの……?)
アルファ(デルタを生かす道だって、  もっとよく考えれば見つかるかもしれないのに――)
デルタグルァァアアア!!!
アルファ(デルタ……まるで本物の獣のようだわ。  仲間を手にかけた意識すら、  今のあなたにはないのね……)
デルタウガアアア! 殺すッ!! グルァァアアア!!! 死ねッ!! ガルルルァァ!!!
アルファ(こんな姿を晒して、仲間を殺めてまで生きるのを、  きっとあなたも望んでいないはず……なんて、  そんな言いわけをするのはズルいわよね)
アルファ(私は、私の判断で、私の意志で――)
アルファごめんなさい、デルタ。
デルタガッ、ハ……!?
オリヴィエぅ、ぐ……それで、いい……。
オリヴィエ……自分は、しょせん……ここ、まで……の……――
デルタグ……ゥ……う……っ……。
デルタ……ア……ファ……さ、ま……。
アルファデルタ……? あなた、自我が……。
デルタ……め、ん……なさ……の……です……。
デルタでも……ボス、は……あん、な……のに…… 負けない、っ……の、です……。
デルタアルファ、様……な、んで……信じ、な……――
アルファデルタ……?
アルファそう……よね……。
アルファデルタ……あなたは……彼を信じていた…… ディアボロスよりも、シャドウのほうが強いって……。
アルファでも、その信頼を……私が否定した。 あなたは、私のことも信じてくれていたから、 混乱してしまったのね……。
アルファ自分がありえないと思うことを、 信頼する人が肯定する……それがどれだけ残酷なのか、 デルタの心を壊すのか、気付けなかった……。
アルファ私が……判断を、誤ったから…… イータも、イプシロンも、ベータも、デルタも…… みんな、死んでしまった……。
アルファっ、くっ……うっ……は……アアアアッ!!!
字幕身体中の血が沸き立つような感覚に襲われる。 苦しみと絶望の中、魔力が溢れ出し――
©坂野杏梨・逢沢大介・KADOKAWA刊/シャドウガーデン

Episode 11 (選択肢C-2)

オリヴィエっ、愚かな――
デルタガルルルァァ!!!
オリヴィエぐっ、は……託す、相手を……誤った、か……――
アルファあ――
デルタガルルルァァ!!!
字幕ほんの一瞬、アルファに隙が生まれた――
字幕のと、同時。 デルタの腕がアルファの腹部を貫通する。 意識が薄れる余韻もなく、彼女は絶命した――

Episode 12

©坂野杏梨・逢沢大介・KADOKAWA刊/シャドウガーデン
デルタボス……? ボスはどこ?
アルファ(え……?)
イプシロンう、嘘ですよね? どこかに身を隠していらっしゃるんですよね!?
ガンマシャドウ様!! シャドウ様!? どちらにいらっしゃるのですか!?
アルファ(また、タイムリープした……?)
ゼータ……嘘だろ? 主が、まさかあんな奴に……?
イータ跡形もない……。
イプシロンシャドウ様ぁぁぁ!!!!
アルファっ、ぐ……あっ……!
デルタアルファ様!?
アルファデルタ……あなた……生きて……。
デルタがう!? アルファ様が倒れたのです!
ガンマシャドウ様のことが、それだけショックだったんですね…… 1番長くお傍にいて、彼を支えていらしたのは、 アルファ様だから……。
アルファ(戻って、これた……  デルタを手にかけてしまう、前に……)
デルタアルファ様……うう……大丈夫なのです! ボスはアイツに負けたりしてない! かくれんぼしてるだけなのです!
ガンマデルタ……。
ゼータ1番現実が見えていないのは、 このバカ犬みたいだ。
デルタなんだと!?
ゼータいい加減、現実を見ろ。 死んだとか、そういうのを、何度も口にしたくはない。
フレイヤ喧嘩している場合でも、嘆いている場合でもありません。 時は一刻を争います。 奴には恐るべき能力があるのです。
オリヴィエああ、面倒な能力だ。
デルタお前、なんなのです!? アルファ様みたいな顔して!
オリヴィエアルファ……? 違う。 私はオリヴィエだ。
アルファ……自己紹介をしている時間はないでしょう?
オリヴィエん? ああ、そうだな。
フレイヤ奴は相手の魔力を吸収して己の力に変える能力を持っています。 今はあの男の膨大な魔力を変換しているところです。 完全に吸収を終える前に、奴を――
オリヴィエディアボロスを討たなければならない。
ベータディアボロス……?
ゼータディアボロスって、魔人ディアボロス……? 1000年前に死んだはずの……?
ガンマ理解できません…… それに彼女たちの姿……特に、 オリヴィエという名前の彼女は……。
イプシロンあの、オリヴィエってこと?
リリオリヴィエさん、お知り合いですか?
オリヴィエんー……知らん。
デルタお前たち!! ヘンなことばっかり言うな!
デルタボスは生きてるのです! 死んだりしない!
アルファデルタ……。
選択肢A-1シャドウは死んだ。
選択肢A-2シャドウは生きている。

Episode 13 (選択肢A-2)

アルファ(シャドウが死んだと、  現段階での事実を突きつけてしまえば、  さっきと同じことになる)
アルファ(混乱したからといって、  デルタが何故ああなってしまったのか、  それはわからないけれど……なんとしてでも防いでみせる)
アルファみんなこっちへ。
ガンマは、はい……。
イプシロンシャドウ様が、生きてる……?
ベータほ、本当なのですか!?
アルファええ。 もっとも正確には、 シャドウは復活できる、だけれど。
デルタふっかつ……ふっかつ……がう? でもそれ、ボスが負けてるってこと――
アルファデルタ。
アルファ当然、復活というのは、 シャドウのプランに組み込まれていることよ。 復活を見込んだ死は敗北ではないの。
デルタ……がう?
アルファ復活するから負けではないの。 わかった?
デルタふっかつするから、負けじゃない……。
デルタがう! わかったのです!
アルファわかってくれて良かったわ。 このことは私たちシャドウガーデンだけの秘密よ。 いいわね?
デルタはいなのです! ボスは生きてない! 生きてないのです!!
ガンマ本当にわかっているのかしら……?
ゼータアルファ様の判断を疑いたくはないけど、 バカ犬にまで告げたのは、間違いだったんじゃない?
アルファ……いいえ、これで良かったのよ。 ともかく1度この場を離れましょう。
アルファあなたたちも撤退するわよね?
オリヴィエん?
アルファわからないかしら? 吸血鬼の軍勢が近付く気配がするわ。 このままここにいれば襲撃されるでしょう。
アルファ強力になったディアボロスと吸血鬼の軍勢…… その両方を相手にできる自信があるの? それなら止めないけれど、私たちは手を引くわ。
アルファ(1度目はそれで全滅した。  同じ失敗は繰り返さないわ)
オリヴィエ………………。
フレイヤオリヴィエ、ここは退きましょう。 対策を練ってからでも遅くありません。
フレイヤ悔しいですが、吸血鬼たちの脅威に晒されるのは、 昨日今日のことではないのです。 あと少し討伐が延びたとしても被害は変わりません。
オリヴィエああ、そうだな。
オリヴィエ全員に退くよう伝えてくれ。
リリあの、どこまで撤退しますか?
ペンテあなたたちはどこへ行くつもりだったの?
アルファ……あっちの方角、 森を抜けた先に街があったと思うのだけど。
リリその街なら、リリたちの拠点がありますよ。
フレイヤでは、わたくしたちもそこへ参りましょう。
ドゥーエっ、吸血鬼の軍勢の姿が見えてきた……!
オリヴィエ急ぐか。
リリ動けない人には手を貸してください!
ゼータ追われるのなら、全員で移動するのは危険だ。 わかれて退いて、拠点で落ち合おう。
アルファそれが良さそうね。 みんな、気をつけて――
字幕分散して戦場を脱した者たちが、 続々と拠点のある街へ集合していた――
ベータ何ごともなく到着できましたね!
イータ……遠距離移動は、面倒……。
イプシロン普段閉じこもってばかりだから、 この距離の移動を面倒に感じるのよ。
イータ……距離は、関係ない。 そもそも……移動は面倒……。
イプシロン言い直しても、 なるほどね! とはならないわよ。
イータ王女……彼女がいなければ…… わたしが、運んでもらえたのに……。
ベータ意識のある人は自分の足で歩いてください。
アレクシア……あの、運んでくれて、ありがとう。 何ごともなかったのなら良かったわ。
ドゥーエ気絶したもうふたりは、別行動中よ。 あなたのお仲間が運んでいるはず。
ペンテしかし、あなたたちは本当に何者なの? ひとりひとりから、並々ならない力を感じる。
オリヴィエひとまず、敵……ではないようだな。
アルファ(おかしいわ……)
アルファデルタはまだ到着していないの?
アルファ(もしかして、また……)
クレア……森へ駆けて行ったわよ。 イノシシを探すって……。
クレア呑気なものね……。
アルファそう……。
アルファ(シャドウが……  いえ、シドが目の前で死んだせいで、  気力がないみたいね)
デルタアルファ様~!
アルファデルタ……と、ソレは……。
デルタイノシシ捕まえたのです! ショクリョウ!
ゼータ危機感が薄いな。
デルタなんだと!?
アルファやめなさい、ふたりとも。 ……それよりもゼータ、ガンマは見てない?
ゼータガンマなら拠点とやらの倉庫を調べてる。 何があって何がないのか。 在庫が気になるのは職業病ってヤツかな。
アルファそうなのね…… ゼータ、詳しい話をするからみんなを集めて。
ゼータみんなって?
アルファ同じ時代から来た、みんなよ。
ゼータガンマは?
アルファ彼女は理解が早いから、あとで個人的に話すわ。
ゼータそう。わかった。
アルファ――というわけなの。
ゼータじゃあ、その不可逆の懐中時計を使っている 黒幕を捕まえて、 奪い取ればいいってことだね。
イプシロン元の時代に戻るための手がかりも、 その辺りにありそうですね。
イータ……面白い、アーティファクト…… ついでに、研究したい……。
ベータ研究はあとです。 それよりも黒幕の候補を絞らないと。
クレア……っ……その、アーティファクトを使えば、 シャドウと……そして、シドも生き返ることができる……?
アレクシアええ、きっとそうよ、クレアさん! ポチが戻ってくるの!
クレアあの子のためなら、なんでもするわ。 どんな敵でも倒してみせる……!
ローズそうですね。 気持ちは同じです。 彼が復活するのなら、いくらでも戦います。
559どんなに悲惨な現実の中でも、七陰の皆様は前を向いている…… 心が折れそうになるなんて、未熟でした。 全身全霊でアーティファクトを手に入れてみせます!
ユキメふふふ、何やら見えてきんしたね。 これが希望というものでありんしょう。
アルファ(希望……確かにそうね。  みんなの顔が少し明るくなったわ)
デルタ難しいのです…… そんなことより――
デルタお腹空いたのですーーー!!!
イータ……うっ……うるさ……。
ドゥーエ何か話していると思えば、食事の相談? 呑気なものね。
ペンテまだ全員揃ってはいないけれど、 拠点に移動する?
オリヴィエこちらもフレイヤやリリが揃っていないが、 そちらもまだのようだな。
オリヴィエどうする、待つか? それとも先に拠点を用意するか?
アルファ後者が妥当ね。 時間を無駄に消費するのも、 迎えに行って入れ違いになるのも避けたいわ。
アルファあなたたちの拠点はないの?
オリヴィエ小さい場所ならある。 だが倍近く増えた以上、手狭だ。
アルファじゃあ広い場所を探しましょう。 20人近い人数が留まれる場所はそう多くないわ。
アルファそうね。 早く休ませたい人もいるし――
オリヴィエああ、彼女か――
クレアかはっ……!?
アルファ……え?
字幕クレアに目を向けたアルファたちが見たのは、 後ろから腹部を貫通した刃だった。
クレアっ……え……ぁ……シ、ド……。
アレクシアクレアさん……!?
ガンマ………………。
イプシロンガンマ……? あなた、何をしてるのよ!?
ベータその姿は、なんなんですか!?
アルファ(冗談でしょう……?)
アルファ(デルタは暴走しなかったのに、  ガンマが魔力を暴走させているの?)
アルファ(未来が、変わっている……)
アレクシアよくも……よくもクレアさんを!
アレクシアなっ!? 防がれた……!?
ガンマ次は私の番ですね。
アレクシアぐっ、ああ……ッ!!
デルタガンマが、弾き飛ばした……!?
ゼータ変わったのは姿かたちだけじゃない。 強くなってるね。
ベータどうなっているんですか!? ガンマのパワーがあがっています!
イプシロン動きも、速いわ。 俊敏で……これまでの彼女とは別人よ……!
アルファ(こうなったデルタの能力が上がっていたように、  ガンマの能力も底上げされている……)
ガンマあはっ……はははっ! なるほど! 強者はこのような気分なのですね!
ガンマお相手を意のままに蹂躙し、ぶっ壊して差し上げる! なんて気分がいいのでしょう!
イプシロン何言ってるの、ガンマ!? そんな、あなたらしくもない……!
ガンマ……はい? 私、らしい?
ガンマ私らしいとはなんでしょう?
ベータガンマ……?
ガンマそれは、七陰『最弱』の私のことですか?
ガンマあなたたちよりも弱く…… 戦うよりもお金を稼いでばかりの、 陰に隠れている、私のことを言っているんですか!?
ベータっ、く……!
ガンマ謀略とは所詮は弱者の武器なのです!
ガンマだってどんな知将だって、少し小突いたら、 ぶっ飛んで壊れるのですよ!?
ガンマそんなこと、赤ちゃんだって分かるでしょーがー!
イプシロンくっ、ガンマ! やめて!
ガンマあなたも!!
イータわわ……危ない…… 避けなきゃ、やられてた……。
アルファ(どうにかして、ガンマを止めないと……)
アルファ(デルタの時のような結末は、迎えたくない!)
デルタガルル…… ガンマのくせに……!
オリヴィエやりにくそうだな。
ペンテわたしたちが代わりましょう。
アルファえ?
ドゥーエひとまず、拘束するわ。
アルファ……できるの?
ペンテええ、おそらく。 戦いぶりを観察していたけれど、 可能だと思うわ。
ガンマ私を下に見ていたんでしょう!? そんなこと、もうさせない!!
ベータっ、違います! そんな風に思ったことはありません!
ガンマそんなの……うっそじゃーん!!!!
ベータくっ……!
ガンマ月までぶっ飛ばして、クレーターをひとつ 増やして差し上げますわ!
ドゥーエ代わるわ。
ベータでも……!
ペンテ身内とはやりにくいものよ。
ペンテ大丈夫。力も速さもあるけど、 彼女には戦闘のセンスが感じられない。 不意打ちさえされなければ余裕で――
ガンマぺぎゃッ!?
ドゥーエがはっ!?
ベータえ。
イプシロンえ?
イータ転倒……した、拍子に……。
アルファ剣が、刺さった……。
ペンテっ、いやあああああ!!!
©坂野杏梨・逢沢大介・KADOKAWA刊/シャドウガーデン

Episode 14

ベータ何ごともなく到着できましたね!
アルファ(ここは……)
イータ……遠距離移動は、面倒……。
イプシロン普段閉じこもってばかりだから、 この距離の移動を面倒に感じるのよ。
イータ……距離は、関係ない。 そもそも……移動は面倒……。
アルファ(また、戻った……  アーティファクトが使われたのね)
アルファ(ここは、拠点のある街に到着したところみたい。  イータの説明を借りるなら、  この時点がセーブポイントになっているのね)
アルファ(もっとも、イータ本人は、  私にアーティファクトの説明をしたことを、  覚えてはいないのでしょうけど……)
クレア………………。
アルファ(クレア・カゲノー……  元気はないけれど生きている)
アルファ(目の前で死んだはずの人間が生きているのは、  なんだか不思議な感覚だわ。  死すらも恐れなくていいなんて――)
アルファ(そうだわ……!)
アルファガンマは? 彼女はどこ?
ベータアルファ様? どうなさったんですか?
ゼータガンマなら拠点の倉庫を調べに行ったよ。 バカ犬はイノシシがどうのって飛び出したけど、 こんな状況でもそれって、本当にバカだよね。
アルファ……倉庫はどこかしら?
ゼータガンマに何か用でも?
アルファシャドウが復活する件について詳細を話すわ。 彼女にも聞いてもらわないと。
ベータシャドウ様の……! いったいどうやって、あのお方は復活なさるのですか!?
アルファそれは全員揃ってから――
デルタアルファ様~!
デルタイノシシ捕まえたのです! ショクリョウ!
アルファ……よくやったわ、デルタ。 私は少し外すからこの場所でおとなしくしていなさい。
デルタがう? アルファ様、どこ行くのです?
アルファ倉庫よ。 ガンマがそこにいるの。
デルタ倉庫? ガンマ? でもすぐ近くでガンマのにおいするのです。
アルファっ!?
デルタその辺の――
アルファ(まさか……!)
イプシロンアルファ様?
ガンマくっ……!
アルファさせないわ。
クレアな、なんなの?
イプシロンアルファ様が攻撃を防いだ……って、 もしかして、あなた……?
イータガンマ……?
ベータその姿は……なんですか? どうして、そんな禍々しい魔力を……!?
イプシロンそれに、なんで剣を? その剣で何をするつもりだったの!?
アルファ(杞憂であってほしかった)
アルファ(セーブポイントが設定されていた時点よりも前に、  ガンマはこうなってしまっていた……)
ガンマどうして……防がれてしまったのでしょう…… この力があったとしても、私は最弱のままなの……?
ガンマそんなはず……そんなはずないわ……!!
ガンマ私は最強になったはずなのに……! 全部、おぶっ壊して差し上げられる、最強なはずなのに……!
ガンマどんな天才も、剣で心臓ぶっ刺されたら死んじゃう! そんなの、赤ちゃんでも分かるはずなのに!
ガンマ私、赤ちゃん以下なの!? あ、あかちゃーーーん!!!!
イプシロンなっ!? ガンマ、やめなさい!
ゼータくっ……なんて、力だ…… これまでのガンマとは比べ物にならない!
デルタぐるる……っ! ガンマのくせに……!
ガンマそうやって! いつも私をバカにして……許さない!!
アルファ(セーブポイントよりも前に起きていた事象は、  今の私たちには手の打ちようが、ない……)
アルファ(シャドウの死と同じ……  タイムリープのアーティファクトを手に入れるまで、  もとに戻ることは……ないのだわ――)
ガンマあははははっ! ははっ、はははははっ! 天才の心臓、ぶっとーばせー!!!!
謎の男A赤黒く濁った魔力…… 魔人化が始まったようだね。
謎の男Bフン、くだらん。 所詮は魔力の暴走にすぎない。 手に負えない力に意味などあるものか。
謎の男Cとは言いますが、 その力こそ我々の求めるものです。 今はこの時を喜びましょう。
謎の男D動向から目を離すな。 あの力があれば、 我らの崇高な目的が叶う日も近いのだから――

第二章に続く…

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